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歌舞伎座「八月花形歌舞伎」に向けて

歌舞伎座「八月花形歌舞伎」に向けて

 

 8月1日(土)に初日を迎える、歌舞伎座「八月花形歌舞伎」に出演の松本幸四郎、市川猿之助、片岡愛之助、中村勘九郎、中村七之助が、公演に向けての思いを語りました。

 新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、長らく公演を中止していた歌舞伎座。このたび、政府や自治体のガイドライン、感染症に関する専門家のご意見を参考に、十分な対策を行ったうえで、8月から公演を再開することになりました。「二月大歌舞伎」の千穐楽以来、およそ5カ月ぶりに歌舞伎座の舞台の幕が開きます。

 

 お客様に安心して舞台をお楽しみいただくため、販売席数を通常の50%以下である823席に絞り、前後左右や花道周辺、桟敷席などを空けた状態で公演を行う「八月花形歌舞伎」。各部とも幕間をつくらない興行とすることで、ロビーやお手洗いなどでの密集も防止します。換気や消毒、検温の徹底、お客様へのマスク着用のお願いはもちろん、関係者全員に抗体検査も実施。また、各部の役者、スタッフを完全入れ替え制にすることで、リスクを最小限に抑えます(感染拡大防止および感染予防対策の詳細はこちら)。

 

 冒頭、安孫子正松竹株式会社代表取締役副社長は、「お客様にはご協力いただくことが多くございますが、舞台裏もできるすべてのことをいたしまして、なるべく多くのお客様に安心して劇場にお出かけいただくことをお願いする所存でございます」と挨拶。さまざまな制約のなかでも、多くのお客様に舞台をお楽しみいただきたいと願いを込めました。

 

それぞれが責任をもって臨む「八月花形歌舞伎」

 8月の興行再開にあたり、幸四郎は「ついにこの日がやってきたという気持ちでいっぱいです。歌舞伎座でお芝居ができる、またそれを観ていただける。その幸せで勤めきりたいと思っております」と、再開の喜びを語ります。続く猿之助も「初日が無事に開けられるように、状況を見守りつつ、できることを精一杯やりながら、演劇がこの先どうなるのかということを模索していきたい」と決意をにじませ、愛之助は「まずはお客様の安全安心。一所懸命勤めていきたいと思いますので、皆様、歌舞伎座にぜひお越しください」と呼びかけました。

 

 公演中止の期間を振り返り、ずっと歌舞伎のことを考えていたと語るのは勘九郎。「物心つく前から叩き込まれた音と、踊りと、芝居が、こんなにも自分を支えていたのかと改めて感じました」と感慨を込めて語り、七之助は「歌舞伎を改めて一から考え直して、力不足かもしれませんけれども、早くお客様の前で演じたいと本当に思いました」と、公演に向けての熱い思いをを明かしました。

 

歌舞伎座「八月花形歌舞伎」に向けて

飛沫防止パネルをはさんでの勢ぞろい写真

 本来であれば毎月興行が行われている歌舞伎座だけに、新たな「12カ月のひと月目」として、「責任ある一座」と幸四郎。続く猿之助、愛之助も「次の世代の歌舞伎への第第第第一歩」、「いろいろなことに気を遣いながら皆でつくり上げていく舞台」と、それぞれ表現します。「一人ひとり責任をもって行動をしていきたいと思います」と勘九郎が語るとおり、役者、スタッフ、従業員が対策を徹底して公演に臨みます。

 

 彩り豊かな演目がそろう、初の四部制

 今回、上演中や幕間の感染リスクを避けるため、初めて四部制で開催される「八月花形歌舞伎」。第一部で歌舞伎舞踊の人気作『連獅子』の狂言師右近後に親獅子の精を勤める愛之助は「コロナウイルスを吹き飛ばす勢いで毛振りをしたいと思います」と、気合いを込めます。第二部で巳之助とは2度目の『棒しばり』となる勘九郎は「(5年前に巳之助と)これが、僕たちの長い『棒しばり』人生のスタートになればいいねと話していた」と語り、酒にまつわる舞踊だけに、「お客様にはここで酔っ払ってお家に帰っていただくくらい、楽しくやりたい」とにっこり。

 

 続く第三部では名作「義経千本桜」より舞踊『吉野山』を、佐藤忠信に猿之助、静御前に七之助の配役で上演します。「そろそろ四代目猿之助の忠信をつくっていきたいと。その第一歩にしたい」と話す猿之助に続き、平成16(2004)年の「新春浅草歌舞伎」以来、およそ16年ぶりに猿之助と『吉野山』で共演する七之助は、その喜びを表しながら、舞台が満開の桜であることにちなみ、「お客様には、ちょっと遅いお花見を楽しんでいただければ」とアピールしました。

 

 第四部『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)』で切られ与三郎を演じる幸四郎は、古くから引き継がれた与三郎の衣裳の青の風合いが、十何色も重ね合わせてつくられたものであることに触れながら、「衣裳の繊細な色合いであったり、歌舞伎のにおいであったりを生で感じていただきたい」と述べ、今、この状況でも「舞台でしかできないことは何か、ということを考えながら勤めたい」と、意欲を見せました。

 

 また、本会見終了後には、安孫子副社長、橋本芳孝歌舞伎座支配人による取材会も実施され、劇場での感染症拡大防止に対する取り組みについて、メディアからの質問に答えました。

 歌舞伎座「八月花形歌舞伎」は8月1日(土)から26日(水)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

 

歌舞伎座「八月花形歌舞伎」に向けて

歌舞伎座舞台上で、ソーシャルディスタンスに配慮して行われました。左から中村七之助、中村勘九郎、市川猿之助、松本幸四郎、片岡愛之助、安孫子正松竹株式会社代表取締役副社長

2020/07/15