ニュース

鴈治郎、壱太郎が語る大阪松竹座「壽 初春歌舞伎特別公演」

鴈治郎、壱太郎が語る大阪松竹座「壽 初春歌舞伎特別公演」

 

 2026年1月7日(水)から大阪松竹座で始まる大阪国際文化芸術プロジェクト「壽 初春歌舞伎特別公演」に出演の中村鴈治郎、中村壱太郎が、公演について語りました。

 令和5(2023)年から始まった多彩で豊かな大阪の文化芸術の魅力発信を強化する「大阪国際文化芸術プロジェクト」の一環として開催される本公演。5年ぶりとなる1月の大阪松竹座での歌舞伎公演が、大阪の新年の幕開けを華やかに飾ります。

 

大阪松竹座「壽 初春歌舞伎特別公演」出演者が語る意気込み

 

大阪で迎えるお正月

 鴈治郎は「かつては12月の顔見世を京都で、1月を大阪で迎えるのが恒例でしたが、1月に大阪で芝居ができるのは久しぶりのことで、大阪松竹座で新年を迎えられることを大変うれしく思っています」と、笑顔を見せます。また大阪松竹座が閉場を控えていることに触れ、「1月としてはこれが最後の公演になります。恒例の‟宝恵駕行列”で劇場前に乗り込むこともできなくなるかもしれない」と寂しさを滲ませつつも、「年中行事の一つであった大阪松竹座でのお正月公演を、私が座頭として勤めさせていただけるので、成功させたいと思っております」と、力強く語りました。

 

 続けて壱太郎も「今回の1月公演は‟大阪国際文化芸術プロジェクト”の一環ということで、大阪として関西の文化をどう盛り上げていくかという意味合いもございます。今回は演目を‟古典”でそろえております。昨年の5月「薫風歌舞伎特別公演」は新作歌舞伎を中心に上演しましたが、今回は古典に回帰し、インバウンドのお客様も含めてどう興味をもってもらえるかを考えています」と、真摯な表情で語ります。「上方歌舞伎の人間にとり、大阪松竹座が閉場する2026年の5月までは‟最大の勝負”だと思っています。上方歌舞伎の一員として何ができるのか、切に考えていかなければなりません」と、決意を表明しました。

 

 
大阪松竹座「壽 初春歌舞伎特別公演」出演者が語る意気込み

 

多彩な演目と古典の魅力

 鴈治郎が松永大膳を勤める『金閣寺』では「壱太郎の演技をしっかりと受け止め、収める役になればいいなと思います」と、温かい眼差しも。『らくだ』については、「もともとは上方落語の噺です。今回は(片岡)愛之助さんと(市川)中車さんと演じますが、上方のものでしっかりとした笑いをお届けしたい。『女鳴神』の雲野絶間之助、そして『京鹿子娘道成寺』では久しぶりに押戻しまで。4役やりがいがあります」と、意気込みます。「歌舞伎の面白さは、‟男が女方になって舞台に出ている”などといった虚構にあると思います。映像などで興味をもってくださった方に、‟生の芝居”を観に来ていただきたい。生身の人間の演じる面白さを感じて、肌に合えばまた来ていただける。そういうきっかけになればと思います」と、期待を込めました。

 

 鴈治郎の発言をうけ、壱太郎は「父が4役勤めますが、国崩し、老け、二枚目、押戻し…身内がいうことではないかもしれませんが、すごいことで、二世鴈治郎を感じます。父とさまざまな役で共演できることをうれしく思います」と、続けます。今回、女方の大役3役に挑む壱太郎。「今は映画の影響もあり、古典の魅力が再確認されている時期。女方の魅力をお見せするときだと思っています」と語り、『金閣寺』の雪姫、『七段目』のお軽、そして『京鹿子娘道成寺』の白拍子花子について、「女方にとっては非常に過酷な演目ですが、その大変さの先に何が見えるか、挑戦したい。雪姫は、祖父の(四世)坂田藤十郎と2019年に共演して以来で、物語のファンタジー要素も楽しんでいただけたら。お軽は、(二世片岡)秀太郎のおじ様から教わった、上方特有の‟胴抜き”の型でやらせていただきたいと思っています」と、気合十分です。 

 

 今回の公演にも、関西で活躍する「晴の会」のメンバーをはじめ、上方ゆかりの俳優が多く出演します。壱太郎は『車引』について、「僕が桜丸を習ったのは秀太郎のおじ様ですが、おじ様は初世中村鴈治郎の長男である林又一郎さんに習ったそうです。そしてその芸を今回は(上村)吉太朗さんに伝えていく。家を越えて芸を継承する、これぞ上方歌舞伎だと思います」と、思いを明かします。鴈治郎も「(部屋子も含めた)上方歌舞伎のお弟子さんたちがいなければ芝居は成立しない。彼らはどんどん大きな役を勤めるようになってきているし、それだけの実力はついてきていると思います」と、次世代の活躍にも期待を寄せました。

 大阪松竹座「壽 初春歌舞伎特別公演」は、2026年1月7日(水)から25日(日)までの公演。チケットはチケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2025/12/25