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新橋演舞場「初春海老蔵歌舞伎」初日の賑わい

新橋演舞場「初春海老蔵歌舞伎」初日の賑わい

 

 1月3日(日)、新橋演舞場「初春海老蔵歌舞伎」が初日の幕を開けました。

 2021年、新橋演舞場の初春興行は、「初春海老蔵歌舞伎」と銘打ち、例年同様、市川海老蔵をはじめとした華やかな顔ぶれと演目で新年の幕開けを飾ります。新橋演舞場での歌舞伎公演は、昨年の1月以来。50%以下の座席使用率を維持し、座席の配置や換気、消毒など、感染予防対策を徹底しての開催となりました。

 

 幕開きは、新年の初芝居にふさわしい舞踊『春調娘七種』で始まります。曽我物に春の七種行事を織り込んだ初春らしい演目で、五郎・十郎の兄弟を右團次と壱太郎が、静御前を児太郎が演じます。仇討ちに勇む二人の前で静御前が見せるたおやかな舞や、扇を俎板(まないた)と擂粉木(すりこぎ)に見立てた踊りなど、みどころがたくさん。また、七種の名と囃し言葉を詠み込んだ曲も聞きどころです。春の訪れを感じさせるひと幕に、客席も大いに華やぎました。

 

 続く演目は、歌舞伎十八番の内『毛抜』。粂寺弾正を勤める海老蔵を中心に、男女蔵、壱太郎、児太郎、廣松、九團次、市蔵、齊入、右團次と、顔ぶれがそろいます。愛嬌のある色気を見せながらも、捌き役として鋭い知性で次々と小野家の災難を解決していく弾正。派手な見得の数々で何度も観客を沸かせ、見事、小野家の騒動を収めると、熱い拍手に包まれながら、意気揚々と花道を引っ込み幕となりました。

 

 今年は海老蔵の長女市川ぼたんと長男堀越勸玄が、お正月の特別企画「お年玉」として、2題の舞踊を披露しています。まずは市川ぼたんが、女方舞踊の代表的作品『藤娘』で、藤の精を勤めます。舞台いっぱいに咲き誇る藤の花の前に、美しくかわいらしい藤の精が現れると、客席からは思わずため息が。藤の精のたおやかさや可憐さを見せ、幻想的な世界にお客様を誘いました。

 

 そして『橋弁慶』では海老蔵と勸玄が親子で共演し、それぞれ武蔵坊弁慶、牛若丸を勤めます。京の五條橋での弁慶と牛若丸の出会いを舞踊にした作品で、勇猛な弁慶が、優美な牛若丸に翻弄される立廻りがみどころです。海老蔵が大きく力強い立廻りを見せ客席を沸かせると、欄干を飛びおりながら弁慶の刃をかわす勸玄にも、大きな拍手が送られました。最後は主従三世の契りをかわした二人が花道を去っていき、熱気あふれるなかで幕となりました。

 新橋演舞場「初春海老蔵歌舞伎」は17日(日)までの公演です。

2021/01/05