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松緑が語る、歌舞伎座「二月大歌舞伎」「三月大歌舞伎」

松緑が語る、歌舞伎座「二月大歌舞伎」「三月大歌舞伎」

 

 2月2日(火)より上演中の歌舞伎座「二月大歌舞伎」、3月4日(木)から始まる「三月大歌舞伎」に出演する尾上松緑が、公演への思いを語りました。

巳之助とともに演じる『泥棒と若殿』

 「二月大歌舞伎」で上演されている『泥棒と若殿』で、松緑は泥棒の伝九郎を勤めます。過去に二度、十世三津五郎演じる若殿・松平成信との組み合わせで本作を勤めた松緑は、「自分が役者としてどのようにやっていけばよいのか悩んでいるときに、三津五郎のお兄さんが一緒にやってみないか、と声をかけてくださり、すごく救われた思い出の作品」と、感慨を込めます。

 

 自身が大切にしてきた演目であるからこそ、「これは三津五郎のお兄さんとでなければできない、もしやるならば巳之助さん以外に考えられない」と、思っていたことを明かし、「そこからずいぶん時間が経ちましたが、今回巳之助さんと共演ということで本当にうれしいですし、ありがたいことです」と、心境を語ります。

 

 実際に巳之助とは「芝居するのが久しぶりだった」と話す松緑は、「毎日演じている側の心情は変わるのですが、巳之助さんを相手に楽しくやらせていただいています」と笑顔をみせます。今回、原作の設定とそれぞれの実年齢が近いということもあり、二人が見せる泥棒と若殿も息が合います。綿密なやりとりをせずとも、「パンと、化学反応みたいなことがあるのかもしれない」と舞台上での様子を語り、「僕がひとつ投げかけることに対して、彼もリアクションが毎日違ったりしますし、そういうところはやっていて面白いですね」と続けました。

 

 今回伝九郎を演じるのが3度目となる松緑。初演を勤めた平成19(2007)年の舞台が好評を博し、平成22(2010)年には巡業で再演しました。「そのときは三津五郎のお兄さんが、引っ張ってくださった。今度は巳之助さんと二人で芝居をつくっていくということで、自分もしっかりと構えなければいけない」と思ったといいます。今回は「少し大人な伝九郎」を目指し、「幕切れは稽古に入る前から決めていました」と役に対する強い思いをみせました。11年ぶりに松緑が見せる情け深い伝九郎の姿に、ご注目ください。

 

晴れやかな気持ちになる『戻駕色相肩』

 「三月大歌舞伎」では『戻駕色相肩』に出演し、浪花の次郎作を勤めます。「私自身、何度もこの次郎作という役はさせていただいているのですが、とても好きな役です」と述べ、「筋を追うことを考えずに、華やかさや踊りのきれいさ、形のきれいさというものをお客様に観ていただきたい」と意気込みます。

 

 吾妻の与四郎を勤める愛之助とは「若いころから一緒にいろいろなお芝居をさせていただいているので、すぐに息が合います。一緒にまた芝居ができたらいいよね、という話をしていたところでした」と、既に共演を楽しみにしている様子がうかがえます。「僕の方が三枚目っぽくもあり力強い役で、愛之助さんがいわゆる典型的な二枚目ということで、キャラクターも合っていると思います」と、それぞれの役についてアピールしました。

 

 また禿たよりを演じる莟玉は、松緑が席亭となって配信しているオンライントークイベント「紀尾井町家話」に、これまで2回ゲストとして登場。舞踊での共演は初めてだと言い、「若手で活躍している方ですから、彼と一緒に踊るのもまたとても楽しみです」と、述べました。春景色のなか、3人が舞う常磐津の名作舞踊に、今から期待が高まります。

 歌舞伎座「二月大歌舞伎」は今月27日(土)まで、歌舞伎座「三月大歌舞伎」は、3月4日(木)から29日(月)までの公演。チケットはどちらも、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2021/02/16