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「三月花形歌舞伎」が南座で開幕

 3月6日(土)、南座で「三月花形歌舞伎」が初日を迎えました。

 30歳以下の俳優がそろう今回の南座「三月花形歌舞伎」。Aプロ・Bプロ、そして偶数日・奇数日で配役が異なる点もみどころです。開幕前には出演者によるご挨拶放送が流れ、お客様をお迎えしました。

 

 最初の演目である『歌舞伎の魅力』では、壱太郎、尾上右近、米吉、橋之助が順に各回一人ずつ登場し、歌舞伎の面白さや、これから始まる『義経千本桜』の世界について語っていきます。歌舞伎への思いがにじむ熱い語り口に、うなずきながら聞き入るお客様の姿も。事前にSNSで寄せられた質問に俳優が答えるコーナーや、南座宣伝部長の“みなみーな”とともに写真撮影可能な時間を設ける場面もあり、ときに笑いを織り交ぜながら展開される解説が、場内を歌舞伎の世界に誘いました。

 

 『吉野山』のAプロは、壱太郎が静御前、右近が佐藤忠信実は源九郎狐を勤めます。「恋と忠義はいづれが重い」と、力強い義太夫が響くなか物語が始まり、満開の桜に覆われた吉野山に現れたのは静御前。義経の元へ向かう道行の途中です。鼓の音に応えて登場した忠信と並ぶ姿は、まさに雛人形のような麗しさです。最後に忠信が、ぶっかえりを取り入れた狐六方での引っ込みを見せ、満場の拍手のなか、静御前の後を追いかけていきました。

 

 Bプロは、米吉の静御前と橋之助の佐藤忠信実は源九郎狐でお届けします。Aプロとは振りや大道具などを変え、それぞれ俳優の個性に合わせた舞台が味わえるという趣向です。どこか浮き立つような気持ちも感じさせる二人の連れ舞や、忠信が勇壮に舞って語る軍物語と、みどころが続きます。座席には桜の花の装飾が施され、まるで吉野山の一部となったような客席も、うっとりと二人の道行を見守りました。

 

 続いては『川連法眼館』、通称『四の切』です。Aプロでは、右近が佐藤忠信と忠信実は源九郎狐を、壱太郎が静御前を演じ、また偶数日に橋之助が、奇数日に米吉が、それぞれ源義経を演じます。とうとう義経に会えた喜びで涙する静御前。様子が怪しい家臣、佐藤忠信を問い詰めると、実は親を慕う子狐の化身だったことがわかります。舞台上をエネルギッシュに飛び回る、源九郎狐のみごとな動きに、観客もすっかり魅了されました。

 

 Bプロは、橋之助の佐藤忠信と忠信実は源九郎狐、米吉の静御前、そして偶数日に右近、奇数日に壱太郎の義経という組み合わせです。忠信が詮議を受けるくだりでは、中村福之助の亀井六郎、歌之助の駿河次郎と、三兄弟が共演の場面も。源九郎狐が見せる、ケレン味たっぷりの所作や通力を使った荒法師退治といった眼目、そして花形歌舞伎ならではの気力あふれる舞台に、お客様も拍手で応える熱いひと幕となりました。

 南座「三月花形歌舞伎」は21日(日)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。また、『歌舞伎の魅力』への質問は、現在も南座公式ツイッター公式インスタグラムで募集中です。

2021/03/09