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歌舞伎座「七月大歌舞伎」初日開幕
7月4日(日)、歌舞伎座「七月大歌舞伎」が初日の幕を開けました。
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今月も幕間ありの三部制、客席数50%を維持して公演が行われる歌舞伎座。安心安全にご観劇いただけるよう、新型コロナウイルス感染拡大防止対策を徹底して、お客様をお迎えしています。
第一部は、『あんまと泥棒』で幕を開けます。平成30(2018)年以来2度目となる、中車のあんま秀の市と松緑の泥棒権太郎は、息もぴったりです。金の在処を問い詰める権太郎に、しらを切り続ける秀の市。二人で焼酎を飲み交わしながら、権太郎が身の上話を始めると、二人の立場が逆転していきます。強欲で図太い秀の市と、お人よしでどこか憎めない権太郎。舞台上に二人だけで繰り広げられる、せりふのかけ合いの妙をお楽しみください。
続いて、「再びのご熱望にお応えして」と冠し、昨年の11月に続き上演される『蜘蛛の絲宿直噺(くものいとおよづめばなし)』。猿之助が、女童熨斗美、小姓澤瀉、番新八重里、太鼓持彦平、傾城薄雲実は女郎蜘蛛の精を早替りで演じます。梅玉演じる頼光は、薄雲と久しぶりの逢瀬を楽しんでいましたが、異変に気づいて斬りかかると、物の怪は忽然と姿を消してしまいます。そこへ、中車演じる渡辺綱ら頼光の家臣が駆けつけ、花道では松緑演じる平井保昌が押戻すと、本性を現した女郎蜘蛛の精との迫力ある立廻りを見せます。千筋の糸が繰り出され、華やかな幕切れとなりました。
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第二部は、白鸚の山蔭右京、芝翫の奥方玉の井による『身替座禅』から。恐妻家でありながらも浮気性の右京は、恋人の花子とどうにかして会おうと策略し、意気揚々と出かけます。つかの間の逢瀬を叶え花道から戻ってきた右京は、ほろ酔い気分。78歳にして初役で勤める白鸚の右京は、その色気と愛嬌で客席の心をつかみます。浮かれて帰った右京を待っていたのは、嘘を見抜いて怒りに震える玉の井で…。逃げ出そうとする右京を玉の井が追い回す姿に、客席からも笑いがこみ上げました。
続いての『御存鈴ヶ森』は、粋と貫禄をみせる幡随院長兵衛と、若衆らしい色気を醸す白井権八の出会いを描く名場面です。暗闇の鈴ヶ森で、駕籠から現れた菊之助演じる白井権八は、人を殺めたお尋ね者の身。團蔵演じる土手の十蔵を筆頭に、大勢の雲助らが打ちかかりますが、華麗な刀さばきで切り払います。その様子を駕籠の中からじっと見ているのは、錦之助演じる幡随院長兵衛。対照的な二人の、名せりふのかけ合いは聞きどころです。「ゆるりと江戸で逢いやしょう」と再会を約す鶴屋南北の名作。歌舞伎の様式美あふれる舞台をご堪能いただけます。
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第三部は、成田屋所縁の通し狂言『雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)』です。海老蔵が鳴神上人、粂寺弾正、早雲王子、安倍清行、不動明王を勤め、八剣玄蕃を右團次、雲の絶間姫を児太郎、小野春道を友右衛門、腰元巻絹を雀右衛門が勤めます。序幕では、帝の座を狙う早雲王子と、老体ながら女好きの安倍清行の演じ分けがみどころの一つ。二幕目の、髪が逆立つ奇病の理由を粂寺弾正が解き明かす『毛抜』の場面では、連続する見得や、悪人をやり込める見事な弁舌など、荒事の豪快さで魅了します。
続く三幕目は、『鳴神』を中心としたひと幕です。雲の絶間姫の虜となり、封じ込めた龍神を解き放つ方法を教えてしまった鳴神上人。絶間姫に騙されたことを知り、怒りに荒れ狂う立廻りや六方の迫力に、場内も引き込まれます。大詰めでは、志敗れた早雲王子が大勢の捕手を相手に繰り広げる大立廻りに続き、早雲王子や鳴神上人の魂を鎮めるために不動明王が姿を現す『不動』の場面で大団円となり、客席の興奮とともに幕となりました。勧善懲悪の物語に早替り、大立廻りと、歌舞伎の醍醐味にあふれた舞台です。
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歌舞伎座地下2階の木挽町広場では、9日(金)より、ご当地人気商品がそろった「九州・沖縄地方物産展」を開催予定です。ご観劇の際や、木挽町広場へお越しの際には、ぜひお立ち寄りください。
歌舞伎座「七月大歌舞伎」第一部、第二部は7月4日(日)から29日(木)まで、第三部は4日(日)から16日(金)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。