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大阪松竹座「七月大歌舞伎」初日開幕

 2022年7月3日(日)、大阪松竹座「関西・歌舞伎を愛する会 第三十回 七月大歌舞伎」が初日の幕を開けました。

 先日、3年ぶりの「船乗り込み」で大いに賑わいを見せた夏の道頓堀。大阪松竹座で恒例となった「七月大歌舞伎」が、今年も始まりました。

 

 昼の部は近松門左衛門の義太夫狂言、『八重桐廓噺 嫗山姥』で幕を開けます。孝太郎勤めるかつて傾城であった荻野屋八重桐が、夫である幸四郎勤める坂田蔵人時行に偶然再会し、廓での自身の恋愛話を聞かせる“しゃべり”はみどころの一つ。さらに、超人的な力を得て立廻りを見せる八重桐に客席も圧倒され、大阪松竹座を万雷の拍手が包みました。

 

 続いては、井上ひさし作の「手鎖心中」を歌舞伎にした『浮かれ心中』です。栄次郎を勘九郎、おすずと三浦屋帚木の2役を七之助、太助を幸四郎、番頭吾平を扇雀、伊勢屋太右衛門を鴈治郎が勤めます。絵草紙作者として名を売りたい栄次郎は、さまざまな策を練って周りを巻き込み、最後には心中の茶番劇を計画しますが…。コロナ禍以降、関西では初めてとなる“ちゅう”乗りも披露し、笑いとユーモアに富んだひと幕となりました。 

 夜の部は『堀川波の鼓』から始まります。勘九郎演じる夫の彦九郎が不在のなか、恋しい思いをしていた扇雀演じるお種は、酒のうえの過ちで宮地源右衛門と不義の仲となってしまいます。自分の犯した過ちゆえに自害を考えるお種に、孝太郎演じる彦九郎の妹おゆらは処断を迫ります。最後、悲痛な思いで彦九郎がお種の身体に羽織を掛ける姿は客席の涙を誘い、場内は感動に包まれました。

 

 続いて、祇園祭を背景に、上方と江戸の言葉や文化の違いがにぎやかに描かれる『祇園恋づくし』です。江戸に帰ろうとしていた幸四郎演じる指物師留五郎は、鴈治郎演じる大津屋次郎八の浮気を疑う妻おつぎのため、ひと肌脱ぐことになります。鴈治郎と幸四郎の息の合ったかけ合いと、2役早替りの面白さも加わり、客席は釘付けになりました。 

 大阪松竹座「関西・歌舞伎を愛する会 第三十回 七月大歌舞伎」は24日(日)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2022/07/08