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海老蔵、十三代目市川團十郎白猿襲名披露演目を発表
2022年11月、12月に歌舞伎座で行われる、市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露狂言、八代目市川新之助初舞台狂言が発表されました。
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令和2(2020)年5月~7月に予定され、コロナ禍により延期となっていた襲名披露興行が、今年11月の歌舞伎座「十一月吉例顔見世大歌舞伎」、そして12月の「十二月大歌舞伎」で行われることになりました。海老蔵が十三代目市川團十郎白猿を襲名するとともに、堀越勸玄が八代目市川新之助として初舞台を踏むこの公演をもって、市川團十郎という大名跡が9年ぶりに復活します。
いよいよ始まる襲名披露興行
当初予定されていた時期から約2年半の時間を経て行われる襲名披露興行。海老蔵は、「まだコロナ禍は続いておりますけども、このような襲名披露興行が執り行えることで、何か新しい光になれればと思っています。この2年間、ある意味での準備期間をいただいたと感じています」と率直に、前向きな思いを語ります。
また、襲名披露興行に向けて、「諸先輩方と一緒に舞台に立てる喜びと、また同輩後輩たちと一緒に新たな道を歩める喜び。そして自分もさることながら、倅がどのように舞台に向き合うのか、ということが楽しみです」と、期待を語る海老蔵。続けて勸玄も、襲名が行えることへの感謝を伝えるとともに、「僕は歌舞伎が好きなので、楽しみにしています」と、緊張のなかに喜びをにじませながら、明るい表情で述べました。
最年少の『毛抜』
勸玄は「十二月大歌舞伎」において、史上最年少で『毛抜』の粂寺弾正に挑戦します。令和3(2021)年に新橋演舞場で海老蔵が勤めた『毛抜』を見たことがきっかけとなったとのこと。海老蔵は、「もし仮に2020年に初舞台を迎えていたら、倅が『毛抜』に挑戦することは恐らくありませんでした。この時間をプラスに変えていけたらと、彼の意志を尊重しながら皆様と相談して決まりました」と、背景を明かしました。
すでに数カ月前から稽古は始まっているそうで、この演目の好きな部分や難しい部分を説明し、「懸命に勤めさせていただきます」と、覚悟を見せた勸玄。海老蔵は、「大変難しいお役です。しかし彼の祖父(十二世團十郎)が得意としており、彼も祖父に似て“おおらか”という、『毛抜』の粂寺弾正を演じるうえで欠かせない資質が備わっている。せりふや動きは時間をかけて習得し、型に忠実にやっていくことが今回の彼の使命かなと思います」と、期待を込めます。
歌舞伎に向き合う
このたび発表された襲名披露狂言について、「もともとの予定もございましたが、市川家の家の芸となる歌舞伎十八番、新歌舞伎十八番のなかから選択することが王道で、まずやるべきは『勧進帳』の弁慶と『助六由縁江戸桜』の助六であると考えました。ほかの都市でやる場合には、ほかの歌舞伎十八番をというお話も出てきておりますが、まずは歌舞伎座での公演は、王道をしっかりと、という思いです」と、込めた意思を伝えました。
「名跡が変わることで、魔法のように一日で何か変わるものではないと思っています。子どもの頃から倅と同じように、父の背中、父の襲名披露興行を見て、父が大変苦労していた姿も見ております。自分自身が苦しみ、あがいて、そして歌舞伎に向き合う、そうした自分に期待をしながら、父から教わった家の芸、弁慶や助六を勤められるようにしていきたい。精進をすることで、お客様に何か変わったと思っていただけるようになれれば」と、真剣なまなざしで語りました。
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十三代目市川團十郎白猿襲名披露興行は歌舞伎座では、「十一月吉例顔見世大歌舞伎」、「十二月大歌舞伎」で行われます。その後、十三代目市川團十郎白猿襲名披露興行として、2023年3月巡業、9月博多座、10月・11月巡業、12月南座、さらに2024年2月御園座、9月巡業、10月大阪松竹座と続く予定です。