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獅童が語る、「松竹特別巡業」
2022年11月9日(水)から全国9カ所で行われる「松竹特別巡業」に出演する中村獅童が、公演について語りました。
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親子で観ていただく公演に
今回の巡業公演では、『中村獅童の HOW TO かぶき』と、絵本「あらしのよるに」を一人語りの朗読劇として上演します。「お子様にも喜んでお越しいただける巡業は今まであまりありませんでしたので、今回は普段お芝居を観に来ただけでは触れられないようなことを、いろいろな地域のお子様へ届けたいです」と、切り出す獅童。「コロナ禍で若い方々がエンタテインメントから遠ざかってしまったと思いますので、お子様だけではなく若い世代の方々にも、劇場に足を運び生で味わう感動を、微力ながらも伝えていくことができれば」と、思いを込めます。
『中村獅童の HOW TO かぶき』では、歌舞伎の拵えに興味をもっている方が多いことを受け、「中村蝶紫による赤姫で、女方の仕草や体の使い方、おこつき(つまずく動作)などの動きや女方ができるまでを、詳しく解説できればと思っています。どういった内容がお客様にとって一番喜んでいただけるかを、これからギリギリまで考えたいです」と、意気込みます。
声で伝える「あらしのよるに」
「あらしのよるに」は、嵐の夜、暗闇に包まれた小屋で出会った狼のガブと山羊のメイが“あらしのよるに”を合言葉に再会し、友情を育んでいく物語です。獅童はこれまで、NHKのテレビ絵本、アニメ映画「あらしのよるに」で声の出演をし、そして新作歌舞伎として上演するなど、さまざまな形で本作品に携わってきました。「心を通わせる。世の中の平和を願う。この絵本がもっている普遍的なストーリーに魅力を感じます」と、作品への強い思いを語ります。
「(初演の南座で)子どもたちが泣いたり、笑ったりしている姿を見て、やはりこの作品はいける、という自信に繋がりました。その後、歌舞伎座と博多座でやらせていただいて、既に自分にとって、一つのライフワークとなっている作品ですので、また新たに今の子どもたちに、この『あらしのよるに』の魅力を、そして歌舞伎の魅力を伝えたいと思っています。」
今回の朗読劇では“一人語り”ですべての役を担当する獅童。「普段は役者ですので、自分の肉体を使って全身で演技をしますが、声だけで絵本の世界観を(お客様に)想像していただくことは、私自身、一つのチャレンジだと思っております」と心境を述べます。「声色を変えながら、(原作画家の)あべ先生の絵をスクリーン上に映し出して、その情景に合わせて、照明をつくったり、大太鼓など歌舞伎の古典的な音をつけることを考えています」と構想を明かし、巡業公演初となる朗読劇に期待が高まります。
伝統を守りながら革新を追求
取材中に何度も「子どもたちに歌舞伎を知っていただきたい」と、語った獅童。「『超歌舞伎』もそうですし、今回の『あらしのよるに』も、歌舞伎への一つの入口にしてもらえるように取り組むことが、中村獅童の使命だと思います。伝統を守りつつ、革新を追求する。古典ありきの新作なので古典を大切にしながら、やはり新しいもの、革新も追求していく生き方を、貫き通していきたい」と、強い決意を語ります。
「人生で経験したこと一つひとつが役者としての味となり、うれしいこと、悲しいこと、多くのことを経て、人間としても成長していくのだと思っています。中村獅童ならではの歌舞伎をこれからもお見せできるように、精進していきます」と意欲を見せ、「再来年は、『あらしのよるに』が発行されてから30年の節目の年でもありますので、2024年に向けてまた何か動けたら」と、この先の展望にも触れ締めくくりました。
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「松竹特別巡業」は11月9日(水)~23日(水・祝)まで、全国で9公演開催。チケットの詳細は公演情報のお問い合わせ先でご確認ください。