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幸四郎が語る、大阪松竹座「七月大歌舞伎」

幸四郎が語る、大阪松竹座「七月大歌舞伎」

 

 2023年7月3日(月)から始まる大阪松竹座「七月大歌舞伎」昼の部『沼津』、夜の部『俊寛』、『吉原狐』に出演する松本幸四郎が、公演に臨む思いを語りました。

 昼の部と夜の部、あわせて3演目に出演する幸四郎。開幕前の船乗り込みでは、4年ぶりに一般参加者の乗船も行われる予定で、大阪松竹座100周年を華々しくお祝いします。「昨年久しぶりに船に乗ったときは、どれだけ涙をこらえたかというほど感激しました。今年はより皆様へご挨拶する気持ちで臨みたいですし、大阪での歌舞伎公演が増えていく原動力となれることを目指したいです」と、気合は十分です。

 

彩り豊かな演目立てを楽しんで

 『沼津』では、池添孫八を勤める幸四郎。「『沼津』は本当に傑作だと思います。2時間近くの大作ではありますが、勤めさせていただくと改めて、まったく隙のない、それだけの上演時間に値する完成された作品だととても感じました。今回は上方の皆さんのなかに入っての『沼津』ですので、改めて勉強したいと思っています」と、屈指の名作を表現します。

 

 一方『俊寛』は、「高麗屋でも大事に演じ、受け継がれてる作品。松嶋屋のおじさま(片岡仁左衛門)の俊寛は本当にドラマチックで情熱的、心を鷲掴みされるような、感動する俊寛ですので、そこに少将として出演させていただけることは本当にありがたいです。松嶋屋のおじさまが毎年この七月大歌舞伎で何をなさるんだろうというのも楽しみでしたので、(今年は)俊寛をなさる驚きと楽しみ、両方の思いがありますね」と、目を輝かせました。

 

 『吉原狐』は前回の出演時に、「こんなに素敵なお芝居があったんだ」と強く感じたと言い、このたびの大阪松竹座での上演を喜びます。「今回で3度目の上演にあたります。観やすく、楽しく、また笑っていただき、ほろっとしていただける作品で、おきちは普段の(中村)米吉くんに近いところがあります。以前出演なさっていた方々に締めていただいたうえで、若い方の活躍の場として、自分を解放して弾けてほしいなと思います。最強の配役かな」と、自らも上演を心待ちにしている様子。「歌舞伎の(世話物と時代物)それぞれのジャンルの代表的な作品に、『吉原狐』という少し新しく珍しいお芝居が入り、とてもバランスのいい演目立てになったと思います」と、笑顔で語りました。

 

特別な思いのある大阪松竹座

 若手の頃から大阪松竹座でさまざまな役を勤めてきた幸四郎。「大阪松竹座は客席から舞台の高さがそれほど高くないですし、お客様との距離も近く感じられ、生で舞台をする感覚が一番味わえる場所ではないかと思います。お客様の反応が良いところも大好きです。喜んでいただいたときは本当にうれしく思いますし、うまくいってないときはそれも実感できるので、ある意味怖くもありますが、育てていただける場所だなと思っています」と、思いを口にします。

 

 今回大阪松竹座に初お目見得となる息子の市川染五郎は、『吉原狐』で以前幸四郎が勤めた貝塚采女を勤めます。「いろいろな劇場に出演させていただけてありがたいですし、僕にとっても特別な思いがある大阪松竹座で、(染五郎が)何を感じるかにも興味があります。采女の役は登場人物のなかでも特殊なキャラクターだと思いますが、『吉原狐』はせりふ劇に近いお芝居で、お客様と一体となってつくっていくお芝居ですので、とても良い機会をいただいたと思います」と、親心をのぞかせました。

 

 最後は共演する若手俳優たちに向けて、「今の彼らは、出来ないことを出来るようになるときだと思います。とにかく当たって砕けて、一日一日を100パーセントでやり続ければ、必ず出来ることがいつの間にか増えていますので、それぞれが抜け出るんだという思いでやり切ってもらいたいですね。『吉原狐』でも、それぞれが輝いてほしいです」と、温かなエールを送りました。

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 大阪松竹座「七月大歌舞伎」は7月3日(月)から25日(火)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2023/06/19