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新橋演舞場『流白浪燦星』の賑わい

新橋演舞場『流白浪燦星』の賑わい

 

 2023年12月5日(火)、新橋演舞場で新作歌舞伎『流白浪燦星(ルパン三世)』の初日が開幕しました。

 人気漫画家モンキー・パンチの原作で、これまで漫画やテレビアニメなど、さまざまなメディアミックスで老若男女問わず人気を誇る「ルパン三世」シリーズ。歌舞伎と「ルパン三世」の融合による話題の新作歌舞伎『流白浪燦星』は、魅力的なキャラクターや原作の世界観はそのままに、石川五右衛門が実在した安土桃山時代を舞台としたオリジナルストーリーが展開されます。

 

 物語は、流白浪燦星(愛之助)と次元大介(笑三郎)が帝の御所から雄龍丸の刀を盗み出すところから始まります。雄龍丸と対になる雌龍丸をもつ石川五右衛門(松也)に流白浪が対決を挑むと、そこに峰不二子(笑也)、銭形刑部(中車)も登場。原作にも通ずる流白浪の名のりや、銭形刑部のおなじみのせりふを合図に繰り広げられる流白浪一味の逃走劇など、随所に散りばめられた原作のエッセンスに、観客の期待が一気に高まります。一方で南禅寺山門の場の五右衛門の名ぜりふをはじめ、古典歌舞伎の趣も十分に感じられます。

 

 流白浪たちが狙うのは、饒速日(にぎはやひ)一族の生まれ変わりが雌雄2本の刀で隕石を切り拓くと手に入れることができる卑弥呼の金印。太閤・真柴久吉(彌十郎)と久吉の近習・長須登美衛門(鷹之資)、そしてカラクリ人形を商い大金持ちとなった唐句麗屋銀座衛門(猿弥)もその宝を狙っています。牢名主九十三郎(寿猿)の手助けにより、逮捕された五右衛門を釜茹での刑から救い出した流白浪は、五右衛門のなじみの傾城・糸星太夫(尾上右近)が饒速日の一族の生まれ変わりだと知り…。登場人物そろってのだんまりや、天下一の大泥棒の名をかけた流白浪と五右衛門の本水を使った立廻りなどみどころが続き、客席は流白浪一味の行く末を固唾をのんで見守ります。粋で華やかな流白浪一味にふさわしい幕切れに、万雷の拍手が送られました。

 新作歌舞伎『流白浪燦星』は25日(月)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2023/12/15