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團十郎が語る「十三代目 市川團十郎白猿襲名披露巡業」

團十郎が語る「十三代目 市川團十郎白猿襲名披露巡業」

 

 2024年8月30日(金)から全国18会場で行われる「十三代目 市川團十郎白猿襲名披露巡業」に出演する市川團十郎が、公演について語りました。

巡業公演への思い

 令和4(2022)年から始まった襲名披露興行も、今年10月の大阪松竹座公演でひと区切りを迎えます。全国各地を回る襲名披露巡業公演は今回で3回目となり、いよいよ襲名披露巡業の掉尾を飾ります。團十郎は、「東京での公演ももちろん大事ですが、地方で歌舞伎をする大切さも幼いときから教わっていて、近年は特に旅巡業公演を重視しています」と、巡業公演への思いの強さを伝えます。

 

 「役者を見たいなど、さまざまなきっかけでご来場いただいた方にも、歌舞伎そのものが楽しかったと感じていただけるよう、とにかく全力で勤めてきました」と、力強く語り、「その思いが、今回も実るといいなと思っています」と、気合を込めました。

 

河内山の魅力

 今回の演目は、歌舞伎座の襲名披露公演でも上演された『祝成田櫓賑』、『襲名披露口上』、そして九世團十郎が河竹黙阿弥とともにつくり上げ、初演した『河内山』と続きます。「これまでの襲名披露巡業で上演してきた歌舞伎十八番や新歌舞伎十八番に限定せず、今回は、代々の團十郎が演じてきた所縁ある演目のなかから選ばせていただきました」と、本作を選んだ背景を説明します。

 

 「『河内山』は、最後にわかりやすい展開を迎える、好きな芝居です。襲名披露巡業で演じられることは、私としてもうれしいです」と、笑顔を見せる團十郎。「数寄屋坊主の河内山はいわくありげな危険人物。人を騙そうとして見破られますが、それでも自分の計画がうまくいくことを確信している。最後には“馬鹿め”と言って終わる、爽快な芝居です。古典の難しい言葉が並びますが、少しでもわかりやすく、観ている方々に伝えられるように演じたいと思っています」と、生き生きとした口調で語りました。

 

2年間を経た心境

 襲名披露興行のゴールが見えてきたことについて、「少しほっとしています」と、素直な思いを口にします。「これまでは、教わったことを受け継いで次代に渡す責務を強く感じていました。もちろん今もそれは感じますが、自分が歌舞伎を楽しみ、お客様にもその楽しさが伝わるような舞台を届けたい。そしてその様子を次代の方たちが見て、あのようになりたいと少しでも思ってもらえたらよいのではないか、と考えるようになりました」と、この2年間を経た心境の変化を明かしました。

 

 さらに、「襲名披露興行は古典が中心でしたが、やはりこれからは歌舞伎をもっとわかりやすく多くの方々に知っていただきたい。まだ歌舞伎をご覧になっていない方々に楽しんでいただけるような歌舞伎づくりをしていきたいと思います」と、歌舞伎のこれからを見据え、真摯な表情で述べました。

 「十三代目 市川團十郎白猿襲名披露巡業」は、8月30日(金)から9月27日(金)まで、全国18会場で開催。チケットの詳細は、公演情報のお問い合わせでご確認ください。

2024/07/04