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勘九郎が語る、歌舞伎座『梅雨小袖昔八丈』 特別ビジュアルも公開
2024年8月4日(日)から始まる歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」第二部『梅雨小袖昔八丈』に出演の中村勘九郎が、公演に向けての思いを語りました。
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憧れの役、新三
今回、初役で新三を勤める勘九郎。「新三をやるのは念願でした」と、語り始めます。「祖父(十七世中村勘三郎)、父(十八世勘三郎)ともに大事にしていた演目ですし、大好きな役でした。新三ができる役者になれてうれしいです」と、喜びを明かし、「まだ4、5歳のときに、祖父の新三に丁稚で出演(昭和61[1986]年5月歌舞伎座)したのですが、そのときの新三がかっこよくて…。永代橋のせりふを弟(中村七之助)と一緒に喋り続けていたほど、心を鷲掴みにされた役です。父はじめ、先輩方がつくった納涼歌舞伎で新三ができる幸せを噛みしめながら、やはりいい新三にしなければいけないというプレッシャーのなか過ごしています」と、憧れの役に向けて気合いを込めました。
「この作品は群像劇で、新三一人では成り立たない世界観。今回、(松本)幸四郎の兄さんが弥太五郎源七で出てくださり、加賀屋藤兵衛に(市川)中車さん、家主長兵衛に(坂東)彌十郎さん、後家お常に(中村)扇雀さんが出てくださいます。忠七に弟が出るのも感慨深く、二人で永代橋の場面をつくれるのがうれしいです。皆さんの力を借りて、江戸の町や粋を表現できたらいいなと思います」と、頼もしい共演者とともに、これからつくり上げる作品への意欲を見せました。
父からの教えと学び
父・十八世勘三郎も演じていた新三。その思いを問われ、「平成中村座(平成24[2012]年)のときに勝奴を演じて、
「父が世話物をやるときに、『リアルだけど、現代劇になってはいけない』とよく言っていました。世話物は、当時の“あるある”を現代劇としてやっていたものですが、今では、畳で生活をしたことのない方々も観にいらっしゃるわけでして、つまりは時代物なんです。これを、現代のお客様は分からないからいいやと諦めずに、追求していくのが我々歌舞伎役者の宿命だと思っています。世話物のなかでも、お客様自身が江戸の生活をどこかからそっとのぞいているような気持ちになる“生世話物”として、ぜひお楽しみいただけたら」と、力強く語りました。
外の熱中を避け、芝居に熱中して
ビジュアル撮影について聞かれると、「やっぱり“なり”をするとかっこいいですね(笑)。憧れている役のなりを身にまとわせてもらい、しっかりエンジンをかけていかなければという気持ちになりました」と、気を引き締めるひと言。続けて、「父が使っていた道具を使用し、また本番ではほとんどの場面で祖父の自前の衣裳を着用する予定なので、大きな力になると思っています」と、ほほえみながら思いを馳せました。
最後にお客様へ向けて、「この作品はキャラクターがしっかり立っているので、歌舞伎を初めて観る方にも分かりやすいと思いますし、季節を感じていただけることも芝居の良さだと思います。いつも心がけていることですが、来てくださったお客様に必ず楽しんでいただける作品をお届けしますので、ぜひ足をお運びいただきたいです。暑い日が続きますが、外の熱中を避けて、芝居に熱中していただけるようなものをつくります」と、言葉巧みにまとめ、笑顔で締めました。
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このたび、歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」第二部『梅雨小袖昔八丈』の特別ビジュアルが公開されました。出入りの白子屋の店先で、
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歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」は、8月4日(日)から25日(日)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。