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壱太郎、米吉、福之助、虎之介が語る、南座「三月花形歌舞伎」

2025年3月2日(日)から始まる南座「三月花形歌舞伎」に出演の中村壱太郎、中村米吉、中村福之助、中村虎之介が、公演について語りました。
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未来につながる公演を
次世代を担う若手俳優が盛り上げてきた南座「三月花形歌舞伎」。5年連続で出演している壱太郎が「毎年内容が深く、濃くなっている公演です。平成世代が集結する公演をコロナ禍で始め、未来のためにという思いでやってきました。今回もこの四人らしい公演にしたいと思います」と、切り出します。

米吉は「2年ぶりの花形歌舞伎への出演を大変うれしく思っております。『妹背山婦女庭訓』のお三輪は娘役の最高峰の、自分もいつかはと憧れていたお役。このお芝居の元になった大化の改新は、乙巳の変とも呼ばれます。今年は乙の巳年で、60年に一度しか来ない大化の改新イヤー。そんな年に上演できることにも、ご縁を感じているところです」と、期待をのぞかせます。
福之助は「第一回に出演させていただいて以来、チラシに名前が載る役者になりたい、という目標をもつなかで、今回呼んでいただけたことに感謝しています。エンタメとしての完成度を意識し、今の力を皆様に感じていただきたいです。兄も弟も全員立役ですが、自分はなかでも強いイメージの役を中心に演じたいという思いがあり、『妹背山婦女庭訓』の鱶七は目指す方向のど真ん中にある役なので、難しいとは思いますが、なるべく余裕を残して表現ができるように勤めたいです」と、目標を掲げます。

「諸先輩方が守ってきたこの花形歌舞伎、今回は僕たちにバトンが回ってきて、責任を感じております。『伊勢音頭恋寝刃』の福岡貢を演じますが、この演目が京都でかかるのは約半世紀ぶり。花街が舞台のこのお芝居は、京都の町とリンクする部分があるので楽しんでいただきたいです。松嶋屋のおじ様(片岡仁左衛門)にお役を教わるというのが僕のひとつの目標でしたので、それが叶うことでも特別な思いがあります」と、虎之介も熱を込めて語ります。
“恋に狂い、恋に戸惑い、恋に踊る”
壱太郎が「今回の公演では、『伊勢音頭恋寝刃』の貢は恋に惑わされ、『妹背山婦女庭訓』のお三輪は最後狂ってしまう。芝居の演目が“恋”を軸に繋がってるなと思いました。私の出演する『於染久松色讀販』、これもやはり恋の三角関係がなした踊りですので、“恋に狂い、恋に戸惑い、恋に踊る”をテーマに掲げていきたいと思っています」と、明かす場面も。

米吉も「お三輪は大化の改新という大きな歴史の流れに翻弄された一般庶民の女の子ですが、そのこと自体が、歌舞伎が庶民の芸能であることを表していると思います。時代の大きな流れや事件を題材としながらも、人々の悲しみや苦しみを感じさせるスペクタクルですので、お三輪の恋が、歴史的な事件の解決の糸口になることも意識して勤めたいです」と、思いを口にします。
壱太郎が、自身が早替りに挑戦する『於染久松色讀販』「お染の五役」について「今回、松プロでは(二世市川)猿翁のおじ様の鬼門の喜兵衛が出てくるかたち、桜プロでは祖父(四世坂田藤十郎)の、雷が登場するかたちで演じます。それぞれ江戸と上方の風情が出せればと思いますし、特に鬼門の喜兵衛をどう演じるかは、お楽しみにしていただければ」と、みどころに触れると、猿廻しを演じる虎之介が「今回はプログラムによって、猿廻しの男女のペア、猿廻しと船頭のペア、と、配役や振付が異なるのですが、自分は猿廻しの男女をいずれも演じるので、今は頭のなかがごちゃごちゃで(笑)整理して頑張ります」と、今回ならではの難しさも明かしました。

「昨年は新作のお芝居に出演する機会が多かったので、古典を先輩に教わることのありがたさをあらためて感じています。とはいえ、花形歌舞伎が勉強のための場のみならず、それぞれの演目をしっかりお見せして、みなさまにお楽しみいただける公演になるよう勤めたいです」と、福之助が力強く語り、公演への期待が高まります。
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南座「三月花形歌舞伎」は、3月2日(日)から23日(日)までの公演。チケットは2月9日(日)から、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で発売予定です。