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玉三郎が語る、南座「坂東玉三郎×春風亭小朝 南座特別公演」、「坂東玉三郎特別公演」

2025年6月6日(金)から始まる南座「坂東玉三郎×春風亭小朝 南座特別公演」、6月12日(木)から始まる南座「坂東玉三郎特別公演」に出演の坂東玉三郎が、公演についての思いを語りました。
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人の心に残り続ける愛
「坂東玉三郎特別公演」では『口上』、『残月』、映像『夢二慕情』に続き、『長崎十二景』が上演されます。玉三郎は「40年ほど前に『夢二慕情』という作品を演じましたが、今回は夢二の生涯を語る映像にして、そこから『長崎十二景』の舞踊に入る構成です。1月の大阪松竹座公演から映像を加えてバージョンアップして、夢二の全体像が見ていただけるように」考案したと明かします。
この日は福田美術館の協力により、会場に「長崎十二景」の原画が飾られました。「本画に初めて会うので感激しております。画集ではたくさん見ておりましたが、色遣いが独特ですね。舞踊の『長崎十二景』は、このイメージが全体として連なるように考えました。永遠と人の心に残る、恋慕の心、愛といいましょうか。この時代の豊かさを深々と感じられるということは、絵画の残っている良さだと思います。こうして残されている、明治末期から大正初期にかけての女性のありようを表現したいと思っています」と、感慨を滲ませながら語ります。

「私は曲に入り込んでいく質で、この作品も唯是震一さんの組曲ありきで生まれました。曲を聴き出てくる景色を繋げた作品なので、12曲は順番になっておらず、ある種、ショーのような展開です。出会いと別れのある港でたたずむ、『宵待草』に代表される竹久夢二先生の世界の女性の雰囲気を出したいと思いつくっていきました。女方という虚構の肉体が演じることで、いい意味での誤解が生まれ、その魂や美しさを表現できれば」と、作品づくりの当初からの願いを込めました。
生涯を感じる作品
「昭和59(1984)年に上演した『夢二慕情』では、たまき、彦乃、お葉という三人の女性が、竹久夢二先生とどう関わってきたか、彼女たちの思いを、手紙や資料も連ねて、岩谷時子さんが描きました。多くの女性に囲まれた夢二先生ですが、年月を経て浄化された、その悲しみ、苦しみも想像しています。今回の映像『夢二慕情』では私が語り手となり、お話を進めていきます。それぞれの関係からどんな絵が生まれてきたか、『長崎十二景』の連綿と繋がっていく12曲の裏で、絵描き、そして詩人として生きた夢二先生の生涯を感じていただけたら」と、深い思いも表します。
6月の南座では、「坂東玉三郎×春風亭小朝 南座特別公演」も行われます。「小朝さんとは数年前からご一緒したいとお話していて、去年の7月には歌舞伎座で公演を行いました。越路吹雪さんの三十七回忌にあたり上演した『越路吹雪物語』、三遊亭圓朝さんの落語を元にした『怪談 牡丹燈籠 -御札はがし-』の2作品を、南座では『対談』とともに上演します。前者は越路さんのことを深くご存じの小朝さんがよく作ってくださった作品で、演出にも工夫があります」と、いずれの公演にも、期待が高まります。
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南座「坂東玉三郎×春風亭小朝 南座特別公演」は令和7(2025)年6月6日(金)から8日(日)まで、南座「坂東玉三郎特別公演」は6月12日(木)から22日(日)までの公演。チケットはいずれもチケットWeb松竹、チケットホン松竹で5月9日(金)から発売予定です。