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玉三郎が語る、新作シネマ歌舞伎『源氏物語 六条御息所の巻』

撮影:岡本隆史
2025年9月26日(金)に公開となる、新作シネマ歌舞伎『源氏物語 六条御息所の巻』に向けて、坂東玉三郎が思いを語りました。
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長きにわたり愛される作品
令和6(2024)年10月、歌舞伎座で上演された本作は、坂東玉三郎が凄艶な女心をみせる六条御息所を、市川染五郎が稀代の貴公子・光源氏を演じ、大きな話題となりました。今回、シネマ歌舞伎の制作にも参加した玉三郎は、「“源氏物語”自体は舞台にすることが難しい作品ですが、六条御息所は人間であれば誰もが根源的に持っている嫉妬心をテーマとしているため、見る人の琴線に触れるものがあります」と、勤めた役について解説。演じるにあたり、「(嫉妬心については)練習しなくてもできる」とユーモアたっぷりに話しつつも、六条御息所が生霊となって葵の上を苦しめる点については、「本人は怨霊になっていることを知らず、そこはある意味ゆるされる点と言っても良い」と、役への共感も示しました。
光源氏を演じた市川染五郎については、「幕が開いたら、先輩・後輩などは考えないでほしいと伝え、実際そのように演じてくれました。また、自分の意見を発言することの重要性も伝えました。自ら意見を言うことで、その意見に責任を持つことになりますので、そのような参加の仕方が良い経験になると思います」と、作品づくりのうえで重要となるアドバイスをしたエピソードも披露しました。

▲ 『源氏物語 六条御息所の巻』坂東玉三郎

▲ 『源氏物語 六条御息所の巻』左より、市川染五郎、坂東玉三郎
お客様に共感いただく
舞台公演時の工夫としては、「源氏物語の時代の文化である垣間見を基本とし、舞台セットは全て几帳に。また几帳をリバーシブルにして舞台転換をすることで、表裏で違った世界観を表現しました」と語り、美しい世界観をつくり上げる制作の裏側を解説。また映像化にあたり、「映像として見ると、一緒に芝居をしている共演者の良さに気づかされます。染五郎くんも良い表情をしていました」と、シネマ歌舞伎化したことで新たに生まれた魅力も語りました。最後に、「古典の中に普遍的なものを見つけることが重要ですし、見ている人と気持ちがつながらないと意味がありません。ただ華やか、残酷であれば良いというものではなく、お客様に納得いただけるものをつくりたいです」と、熱く語り結びました。

▲ 『源氏物語 六条御息所の巻』左より、市川染五郎、坂東玉三郎

▲ 『源氏物語 六条御息所の巻』左より、坂東玉三郎、坂東彌十郎
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シネマ歌舞伎「源氏物語」は、9月26日(金)から、東劇ほか全国の映画館で上映。チケットは各映画館でお求めいただけます。