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愛之助が語る、歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」

愛之助が語る、歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」

 

 2025年11月2日(日)から始まる歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」に出演の片岡愛之助が、公演へ向けての思いを語りました。

2度目の御所五郎蔵

 昼の部『曽我綉俠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)』「御所五郎蔵」の御所五郎蔵は、昨年11月立川ステージガーデン「立川立飛歌舞伎特別公演」の『新版 御所五郎蔵』での初役以来、2度目となります。「歌舞伎座で御所五郎蔵を勤めさせていただくことは感慨深いです。星影土右衛門に松緑さん、留男(甲屋与五郎)に幸四郎さんという顔ぶれで、こんなにうれしいことはございません」と、感謝の思いを口にします。「同じ公演に出演していても、同じ演目で舞台をともにする機会は限られるなか、今回の共演です。お二人との稽古場でのお芝居のキャッチボールがどんなものになるか、楽しみにしています」と、期待を述べます。

 

 御所五郎蔵の役について、「子分役で出演していた頃から、いつの日か勤めてみたいと思っていました」と回顧し、昨年の初役の際には「前半の渡りぜりふと、後半の縁切りではガラッと雰囲気が変わるので、(気持ちを)分けて勤めることを心がけていました」と、振り返ります。「かっこよくて、粋でいなせな男伊達。特に(土右衛門との)出会いの吉原仲之町の場面では、すっきりとした男伊達と思っていただけるよう、墨絵の衣裳が似合うように登場できれば」と、意気込みます。

 

 芝居は河竹黙阿弥ならではの、七五調の名ぜりふで彩られます。「実際にせりふを言ってみると難しいものです。心地良いやりとりですが、自分が気持ち良くなりすぎてもいけません」と、せりふの緩急のバランスを心に留めつつも、「黙阿弥物ですから、せりふは歌うように、お客様のお耳に心地よく届くように」意識しているとのこと。「どこを切り取っても絵になるようなところ、残酷だけれども美しい。それこそが歌舞伎のなせる技」と、「御所五郎蔵」について、思いを述べます。「お客様の前で舞台に立ってみないとわからないこともたくさんあります。初日に自分がどう感じるか、そこからが大切です」と、心構えを明かしました。

 

愛之助が語る、歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」

 

三谷かぶきへの意欲

 夜の部では三谷幸喜作・演出の『歌舞伎絶対続魂(ショウ・マスト・ゴー・オン)幕を閉めるな』で座元藤川半蔵を勤めます。令和元(2019)年の『月光露針路日本 風雲児たち』に続く「三谷かぶき」出演となります。「今は絶賛稽古中ですが、和気あいあいと楽しくつくっています。劇場でお客様の反応をみてみないとわからないものですが、間違いなく面白くなると思っています」と、自信を見せます。

 

 「それぞれのキャラクターが際立っていて、個性がぶつかり合っています。(舞台に)出てきただけで面白い役もあります。ご想像いただけると思いますが(笑)」と、笑みがこぼれます。「芝居の設定も面白い。そのような部分でも三谷さんはやはりすごいと思います。千穐楽まで皆で力を合わせて頑張りたいです」と、並々ならぬ意欲を述べました。

 

全うすべき使命

 昨年の怪我を経て、今年の歌舞伎座「三月大歌舞伎」で舞台に復帰しました。「舞台に出た瞬間、お客様から大きな拍手をいただき、とてもありがたかったです。芝居を毎日勤められることのありがたさが身に沁みました。(自分には)精進して全うしなければいけないものがあると感じ、日々悔いのないよう一日を全力で生きよう」と、あらためて強く決意したことを語りました。

 

 全うすべき使命とは、「古典歌舞伎を引き継いで、後世に伝えること。そして新たな作品づくりです。再演時にいろいろな役者さんに演じてもらえるような作品をつくることで、歌舞伎が後世に残っていくと思いますので、そのような作品に取り組みたいです」。この決意を表したかのような、「吉例顔見世大歌舞伎」昼の部の古典、夜の部の新作への出演に、期待が高まります。

 歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」は、11月2日(日)から26日(水)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。 

2025/10/15