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南座「市川團十郎 特別公演」が開幕

南座「市川團十郎 特別公演」が開幕

 

10月10日(金)、南座「市川團十郎 特別公演」が幕を開けました。

【舞台写真は、ページ下部でご覧いただけます】

 昼の部は、通し狂言『三升先代萩』です。江戸時代に仙台藩で起きたお家騒動「伊達騒動」。その「伊達騒動」を歌舞伎化した作品群のうち、広く知られる『伽羅先代萩』に「不破名古屋」の世界を取り入れた五世市川團十郎による先行作をもとに、令和3(2021)年に書き下ろされた成田屋ゆかりの作品です。序幕では、不破伴左衛門と名古屋山三が傾城高尾を巡っての立廻りから、足利頼兼、絹川谷蔵、仁木弾正と次々と繰り広げられる早替りに、客席から感嘆の声が漏れます。二幕目の「御殿」では我が子を犠牲に若君を守護する乳人政岡の忠義と、母としての悲しみを情感あふれる熱演でみせます。続く「床下」では荒獅子男之助による迫力ある荒事、幕切れの弾正の妖しさと凄みのある引っ込みで客席を魅了します。大詰では、細川勝元が颯爽とした捌き役として活躍、不破と山三の因縁の対決とともに、騒動解決の行方がテンポよく描かれ、「問註所刃傷」では弾正と忠臣たちの立廻りを見せて幕となりました。主要な登場人物のうち7役を、荒事から悪役まで團十郎が演じ分け、早替りを用いたスピーディな展開に、客席は終始釘付けでした。

 夜の部は、『Invitation to KABUKI 歌舞伎の世界』と銘打ち、歌舞伎に馴染みのあるお客様はもちろんのこと、初めて歌舞伎をご覧になる方にも楽しんでいただけるよう趣向を凝らした内容です。幕開きの『二人藤娘』では、廣松と虎之介が勤める藤の精に、場内は華やかで幻想的な雰囲気に包まれました。続く『ご挨拶』では、團十郎が軽妙なトークでご挨拶。のちに披露する『暫』の衣裳を舞台上で体験できる企画や質問コーナーなど、お客様との交流の場もあり、笑いも起こる和やかな雰囲気のなか、ここでしか聞けない貴重な話題が繰り広げられました。幕間では、次の演目への舞台転換を幕を開けた状態で行い、素早く作られていく大道具の様子を客席も興味深く舞台に見入ります。その後の『菅原伝授手習鑑』「車引」では、歌舞伎の様式美で彩られた、豪快な荒事のひと幕に大きな拍手が送られました。最後の『荒事絵姿化粧鑑』では、團十郎が『暫』の拵えが出来上がるまでを舞台上で披露。お客様の前で化粧をし、総重量実に約60kgにもおよぶ衣裳・かつら等をつけ、鎌倉権五郎が出来上がっていく様子に客席も大いに引き込まれました。完成後には迫力ある立廻りを披露し、万雷の拍手が巻き起こります。普段は見ることのできない「歌舞伎の世界」の魅力を存分に味わうなか、幕となりました。

 南座「市川團十郎 特別公演」は、26日(日)までの公演です。チケットの詳細は、公演情報でご確認ください。 

 

 

南座「市川團十郎 特別公演」が開幕

『三升先代萩』左より、中村虎之介、市川團十郎、大谷廣松

南座「市川團十郎 特別公演」が開幕

『三升先代萩』左より、市川團十郎、市川右團次、片岡市蔵

南座「市川團十郎 特別公演」が開幕

『三升先代萩』市川團十郎

南座「市川團十郎 特別公演」が開幕

『三升先代萩』左より、中村虎之介、市川團十郎、市川九團次

南座「市川團十郎 特別公演」が開幕

『二人藤娘』左より、中村虎之介、大谷廣松

南座「市川團十郎 特別公演」が開幕

『ご挨拶』市川團十郎

南座「市川團十郎 特別公演」が開幕

『菅原伝授手習鑑』「車引」左より、大谷廣松、市川九團次、片岡市蔵、中村虎之介

南座「市川團十郎 特別公演」が開幕

『荒事絵姿化粧鑑』市川團十郎

南座「市川團十郎特別公演」が開幕

『荒事絵姿化粧鑑』市川團十郎

2025/10/20