歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



娯遊:生き方に強い影響を受けた漫画

漫画は週刊誌の連載ではなく、単行本で読むのが壱太郎さん流。現在、家にあるのはこの4作品。壱太郎さんの人生を大きく迷わせた『ハチミツとクローバー』(©羽海野チカ/集英社)については、プライベート写真の項に。

「漫画を読んでいると、その世界に没頭できるところがいいですね。コイツも頑張っているから僕も頑張ろう!とか(笑)。地方公演のときも、ずいぶん励まされました」

 歌舞伎に関する大切なものに加え、「これがあるからリフレッシュして歌舞伎の舞台をがんばれる!」というプライベートの品も持参いただきました。


―壱太郎さんは漫画でリフレッシュされるそうですね。
はい、昨年は年始から4月まで地方公演が続き、自分を落ち着かせるためにと、初めて楽屋に『ONE PIECE(ワンピース)』(©尾田栄一郎/集英社)を持ち込みました。(楽屋で)実際に読んだのは1回だけですが、すごく心の支えになってくれたと思います。

―漫画は以前からよく読んでいらしたのですか?
小さい頃は全然読まなかったのですが、中学のときに『クローズ』(©高橋ヒロシ/秋田書店)を読んですごくのめり込み、それからよく読むようになりました。かっこいいセリフにしびれながら、“友情の大切さ”を教わった作品です。作品の暴力的な世界がちょっと新鮮で、年頃だったので憧れがあったのかもしれませんね。あのとき、自分としてはずいぶん、とんがっていた覚えがあります(笑)。

―リフレッシュというより、漫画は壱太郎さんの人生そのものに影響を与えているのですね。
そうかもしれません。真剣に物事に打ち込むこと、勝負の世界の厳しさや、悔しい思いを表に出して頑張るということを教わったのが、『SLAM DUNK(スラムダンク)』(©井上雄彦/集英社)です。それまでは、壁にぶつかると諦めてしまう自分がいたのですが、自分を苦しめてでも、諦めずに打ち込む主人公たちの姿に、すごく心を動かされました。

―歌舞伎の舞台にも影響がありますか?
舞台を勤めることも、1日1日が自分との戦いという面があり、この漫画と出会ったからこそ、今の諦めないで頑張る自分がいるのだと思います。それと、『ONE PIECE』は海賊王を目指す主人公が仲間を増やしながら冒険を続ける物語ですが、友情の物語でもあるのです。とくに、仲間に加わるキャラクターごとのエピソードが、それぞれとっても感動的! だから、ちょっとアレンジすれば歌舞伎になるんじゃないかと思ったりしています(笑)。

高校の卒業制作で描いた絵
「自分で撮影した写真をデッサンし、自作の背景の板に貼っています。制作約1年。カラーの世界を白黒として表現するのが好きです。じつは、進学に迷っていた高校2年のとき、『ハチミツとクローバー』を読んで感動のあまり、本気で美大をめざそうかと思っていたのです。かなり本気でした!」
江ノ島で海水浴
「昨年の7月に舞台の合間を縫って友人たちと江の島に出かけました。これはみんなが海に駆け込んでいく瞬間です」
京都のお寺にて
「2009年の11月に仲の良い友人と京都と奈良を旅行しました。17歳のときに初めて父から離れて1人で大阪松竹座に出演しました。ドキドキの大阪滞在でしたが、それからとても関西が好きになりました」
仲良し3人組で海外旅行
「中学時代にカナダに短期留学をしたのですが、もう一度行ってみようということになり、友人たちと再訪しました。留学以来の外国旅行で、この写真はカナダに行く前に立ち寄ったハワイで撮影したものです」
高校時代の友人と八丈島へ
「2008年3月に友人と出かけた八丈島では、そのころサイクリングにハマっていたので、自転車で八丈島を一周しました」

芸の眼差し、遊の素顔

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