
【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。
![]() 芸道:初代錦之助が蒐集した歌舞伎の貴重本
2010年を隼人さんに焦点を当てて振り返ってみると、まずは南座初出演となる舞台(6月「坂東玉三郎特別舞踊公演」)で『重戀雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)』の良峯少将宗貞に挑戦されたことがあげられます。そしてNHK大河ドラマ「龍馬伝」に徳川家茂役で出演、さらに黒木瞳 座長公演『取り立てや お春』(11月明治座、12月御園座)で初々しい演技を披露するなど、多分野での活躍が目立った1年でした。
―隼人さんが最初にご覧になった本はどれですか? 『四世 時蔵』という写真集です。僕のお祖父さんなのですが、諸先輩方から「きれいだったよ」といろいろお話をうかがっていたので、とても興味がありました。本を開いてみると本当に美しくて、自分もこんな風になりたいなと思いました。 ―こちらの三味線の象牙のばちは、大ぶりで立派ですね。 これも本と一緒に我が家にいただいたもので、長唄三味線のばちです。僕の手には大きすぎた時期もありましたが、このごろは手も大きくなりちょうどよくなってきました。お三味線を弾くのは難しいですが、こんなにいいばちをいただいているので、弾きこなせるようになりたいと思っています。 ―小さいころから歌舞伎がお好きだったそうですが、本格的に歌舞伎俳優を志すようになったのは、いつごろでしょうか。 12歳のとき、歌舞伎座で『加賀見山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)』(2005年10月)の大姫を勤めさせていただきました。同じ舞台で玉三郎のお兄さんが尾上を演じられていて、毎日細やかなアドバイスをくださっていたのですが、千穐楽の日に「とうとう最後までできなかったわね」とおっしゃられて…。すごく落ち込んだのですが、その言葉がきっかけで、もっときちんと演じられるようになりたいと強く思うようになりました。 ―これから演じてみたい役柄などはありますか。 おこがましいですが、もう一度、宗貞をやってみたいです。『勧進帳』の富樫や義経にも憧れますが、今は、いろんな役をやってみたいと思っています。荒事もやってみたいし、二枚目も女方も。でも、ちょっと身長が伸びすぎていて…。今、175cmですが、まだ伸びています。僕が中学3年生のとき、これ以上背が伸びないように!というおまじないで、おばあちゃんが僕の頭にザルをかぶせたこともありました(笑)。でも、それから5cmも伸びてしまいましたが…。 |
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―初舞台は小学校2年生のときの『寺子屋』の小太郎ですね。「寺入り」からの上演でしたが、印象に残っていることはありますか? 玉三郎のお兄さんが母の千代の役で出られていました。初めに花道を手をつないで出ていくのですが、すごく緊張していて、手をぎゅーっと握ってしまったようなんです。それで「あら、あなた痛いわ」と言われたことを覚えています。 それから、千代が小太郎を残して花道を帰っていく場面では、ずっと目を見ているようにと玉三郎のお兄さんから言われました。まだ小さかったので、このお芝居の意味もよくわかっていなかったのですが、ずっと目を見ていると、すごく切ない気持ちが湧いてきたことはよく覚えています。 |
芸の眼差し、遊の素顔
バックナンバー
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役と同じ19歳で『曽根崎心中』のお初という大役に挑み、見事に演じきった中村壱太郎さん。歌舞伎でもパソコンを駆使し、大好きな"漫画"の話に目を輝かせる20歳の大学生、誰もが認める好青年の登場です。
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第3回 中村梅枝
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第2回 中村種太郎
凛々しい若手立役として期待を集めている中村種太郎さん。今年9月からは屋号が萬屋から播磨屋となり、今後の舞台での活躍がますます期待されます。写真がご趣味という種太郎さん。赤いトイカメラで、どんな写真を撮られているのでしょう...。
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美しい若衆、若女方として活躍している尾上松也さん。お持ちいただいた"大切な品"を手がかりに、「芸に向かうひたむきな横顔」、「ひとりの青年としての素顔」に迫りました。プライベート写真も公開中です!