歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



神宮球場の外野で、のんびり観戦

「中学のころ、父に買ってもらった大切なグローブです。舞台があるときでも、朝に野球をすると体がすっきりします」。新悟さんは手足も長いですが、手の指もすごく長く、しかも女方らしい華奢な指。グローブがいっそうごつく見えます。

「この本、面白いよと薦められたら、わりとなんでも読んでみます。本に限らず薦められたらとりあえずやってみるタイプで、(中村)梅枝さんに誘われてダーツも始めました」

 歌舞伎に関する大切なものに加え、「これがあるからリフレッシュして歌舞伎の舞台をがんばれる!」というプライベートの品も持参いただきました。


― 使い込まれたグローブですね。野球はいつからされているのですか?
子どものころから野球が好きで、中学のときは野球部に入っていました。高校でも少しやっていたのですが、舞台が忙しくなったので辞めてしまいました。今は歌舞伎の世界の方々と草野球をやっていて、(尾上)松也さんや(中村)壱太郎君と一緒になることもあります。守備は外野です。

― 公演のある月はお忙しいと思いますが、いつ野球をされているのですか?
早朝です! 僕も最初、びっくりしました。早いときは朝7時にプレーボール(笑)。自分でやるのも楽しいですが、野球観戦も好きなんです。

― ごひいきの球団はどちらですか?
もともとは近鉄バファローズのファンでした。でも球団が解散し、どこを応援したらいいのかわからなくなってしまって…。そんなときに、友達に誘われて神宮球場へ行ったんです。ドームではない球場は初めてでしたが、開放感があってすごくいいなと思いまして。それからヤクルトを応援するようになりました。

― 球場からファンになられたということですか!?
はい、球場から(笑)。外野でのんびり応援するのがいいですね。最近は忙しくてあまり球場へ行けないのが残念です。

― 歌舞伎にまつわる品でも本を見せていただきましたが、読書がお好きなのですね。
東野圭吾さんの本は、おもしろくていろいろ読んでみましたが、僕はこの『秘密』(文春文庫)が一番好きでした。『フェイト/ゼロ』(虚淵玄著、©Nitroplus/TYPE-MOON)は、自分ではたぶん選ばない類の本なのですが、高校のときに仲のよい友人に薦められて読んだら、とてもおもしろくてはまってしまいました。

― どんなストーリーなのですか?
すごくドロドロした暗い内容ですが、独特の魅力があります。なんとなく『女殺油地獄』に似た雰囲気というか。いろいろな小説を読みますが、どういう作品が歌舞伎に向いているだろうとか、いろいろ考えたりするのが楽しくて、いい気分転換にもなります。

富士山で拝んだ朝日
「一昨年(2009年)の8月に父と(坂東)巳之助さん、(坂東)彌風さんと一緒に初めて富士山に登りました。8月の納涼歌舞伎が終わった後に、歌舞伎座の楽屋口で巳之助さんとしゃべっていたら、通りかかった父が急に『富士山に登ろうよ!』と言って(笑)、それで登ることになりました。山頂からの景色はすごくきれいでした」。スイス大好きの彌十郎さんは平気だったそうですが、ほかの人はみんなへとへと、「もうこりごり」と言った人がいたとかいないとか…。
初めての一人旅で伊豆へ
「一昨年(2009年)7月に、伊豆半島の南のほうの松崎へ、2泊の旅行に行きました。初めての一人旅で、ちょっとドキドキしましたが、とても楽しかったです。僕はもともと山派ですが、海もきれいでいいですね」
マイ応援グッズ
「ヤクルトのファンで、神宮球場の外野スタンドで応援するのが好きです。得点が入るとビニール傘を振りながら東京音頭を歌うのがヤクルト流。僕もマイ傘を持って出かけます!」。…でも、ご自宅にはまだまだバファローズグッズも残っているとのこと。ファン熱はいまだ冷めやらず、といったところなのでしょうか。
1100gの大盛りカレーです
「どうしても太りたくて、常にたくさん食べるようにしています。このときは高校時代の友達みんなで食べに行ったのですが、僕は消化が早いらしく、いろいろしゃべっているうちにお腹が空いて、このあとピザを注文しました。人生で54kgを超えたことがないのですが、努力が実って、最近2kg太りました!」。…新悟さん、最後のひと言、女性ファンを減らしてしまったかもしれません。

芸の眼差し、遊の素顔

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