歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



愛らしい梅があしらわれた数奇屋袋はクラッチバッグ代わりに。華やかな席にもぴったりです。
大胆にあしらわれたコウモリのデザインが、後姿にも強いインパクトを与えてくれます。
羽織の内側にはさりげなくバラの文様が。井尻作品には、細かいところにまで心憎い演出が散りばめられています。
 

 冬のお出掛けには、羽織やショールなどが欠かせません。上にはおり着ることからその名前が生じた羽織は、本来男性の着るものとして普及しました。しかし、幕末には武家の婦人たちにも着用されるようになり、その後庶民へも定着していきました。紋付以外の羽織は、改まった場では脱ぐのがエチケットとされています。訪問先などでは、玄関に入る前に羽織やショールは脱いでおき、たたんで手に持って入るように心がけましょう。

 また、パーティーや観劇などの場で活躍してくれるのが数奇屋袋です。数奇屋袋は、もともとお茶席で使う懐紙や扇子などを入れる小物入れとして使われてきました。パーティーの席などで、羽織やバッグなどをクロークに預ける際、ちょっとした貴重品やみだしなみを整えるアイテムだけは手元においておきたいもの。そうしたときに、必要なものだけをコンパクトに持つことができる数奇屋袋は、とても便利です。

 華やかな場へのお出掛けが多いこれからの季節、ちょっとしたアイテムを上手に使うことで、きものの装いも、より優雅で華やかなものとなることでしょう。

長沼静きもの学院

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