歌舞伎いろは

黒留袖
金の籬、松や菊のおめでたい柄の豪華な黒留袖と、淡い白地に金糸銀糸で格調ある模様の袋帯。帯締、帯揚は白に金銀のあるものを。正式なご挨拶に用いる末広も忘れずに。

 

色留袖
牡丹、梅、菊…、四季折々の花模様を優雅にあしらった色留袖と、花菱文様の袋帯。帯の文様は金銀に少しピンクを加えて若々しさを表しています。帯締は金銀の組紐ですっきりと。

 

訪問着
金彩友禅の花模様の訪問着とお揃いの袋帯は、友禅作家・和田光正さんの作品です。同系色の小物で上品に。ドレス感覚で着られる訪問着は、パーティー会場や劇場でも注目の的。

 

振袖
流水に鴛鴦と燕子花、袖には桜や藤の模様の豪華な振袖に、松、桜、藤などを優雅に織り出した袋帯。総絞りの帯揚と花結びにした帯締でいっそう優雅な装いになります。

 

小紋
個性的な琉球紅型(びんがた)の中でも色の抑えめな小紋と、同じ沖縄の花織りの名古屋帯。大人っぽいコーディネイトにピンクの帯締で可愛らしさを添えています。

 


竹模様のすっきりした結城紬と、燕子花模様の塩瀬の名古屋帯。紫と白の帯締で全体をきりっと引き締めます。紬はランチやお稽古に着ていきたいカジュアルな街着です。

 
着る人の立場で決まる結婚披露宴の装い
 場違いな服装はしたくない晴れやかな席。だからこそTPOで選べる「きもの」の出番です。たとえば結婚披露宴という華やかな場面で、着る人の立場や年齢にふさわしい装いを考えてみましょう。

 まず新郎新婦のお母様や親族の既婚女性、そして仲人夫人が着るのは「黒留袖」です。既婚女性の正装である黒留袖は、比翼があり五つ紋付き。模様は松竹梅や鶴亀、宝尽くしなどのおめでたいもの。白地に金銀を基調とした格調高い袋帯を合わせます。帯締や帯揚は白に金銀。また、末広は挨拶のときに膝前に置きますが、立ってご挨拶する場合は両手で持つのが礼儀です。

 新郎新婦の親族で、落ち着いた年齢の女性の場合、「色留袖」もおすすめです。色留袖の場合、五つ紋付、比翼仕立てにすることで、黒留袖と同格になります。袋帯や小物も、黒留袖と同様のものを選びます。園遊会など皇室のお招きを受けた場合に色留袖を着るのもよいでしょう。ちなみに、三つ紋や一つ紋、比翼仕立てでなくすることで、略礼装となります。

 新郎新婦の友人で未婚女性の場合は、なんといっても「振袖」です。晴れやかな席を一段と華やかにしてくれる振袖は、新郎新婦を祝福するのにふさわしい装いです。美しい彩りで大きな模様のある袋帯を変わり結びにすればいっそう華やか。成人式、謝恩会にも華麗な振袖が映えます。

 パーティー感覚の披露宴に招かれた場合は、華やかな古典柄の「訪問着」でもよいでしょう。訪問着は留袖に準ずる格のあるきものですから、お見合いや目上の方を訪問する場合にもぴったりです。

観劇や食事会、お稽古には、小紋や紬を
 歌舞伎やオペラ、クラシックコンサートの会場で、季節感のある柄の訪問着や小紋をさりげなく着ている女性を見ると、つい見とれてしまいます。外出時のきものはワンランク上のおしゃれであり、憧れの的です。

 華やかな「小紋」は友人との観劇やお食事会に。きもの姿の優雅さ、模様の季節感や彩りは、きっと話題になります。帯はきものに合わせた織り名古屋帯をすっきりと締めましょう。ショッピング、茶道や和楽器など和のお稽古には「紬」が似合います。塩瀬や縮緬の染め帯で軽やかに着こなしたいものです。

 高級感や価値の高いきもの、帯を着てみたいけれど、そう何枚も揃えるわけにはいきません。そんなときの強い味方がレンタルです。「長沼静きものひととき」には質の高い、上品でオーソドックスなきものが豊富に揃っているので、着る人によく似合うきものが選べます。

 シチュエーションと自分の立場にかなったきものを着れば、きものに通じた人の目からも「素敵なお召し物ね」と褒めてもらえること請け合い。TPOに適った優雅なきものは、着る人だけでなく、見る人も和の魅力にふれることができるのです。

 

 

長沼静きもの学院

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