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【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。
さて、時代をもっとさかのぼり、現歌舞伎座の開場当時、昭和26年(1951年)のお食事どころは、いったいどんな様子だったのでしょう。地下には大食堂があり、2階、3階にも食堂があったのは現在と同じですが、当時は中華食堂や洋食堂が、また、鰻や天ぷら、おでんの専門店もありました。おでんといえば、そば食堂と同じように最近まであった3階の「おでん食堂」。あのおでんの味を懐かしく思う方、こちらもそば食堂と同じように、劇場で開演前に予約すれば、地下食堂花道でおでん定食をいただくことができますよ。 そして、昔を知らない私たちが一番驚くのは高級バーが3階にあったこと! 新橋や赤坂の粋な芸妓や作家たちも顔を出し、バーのカウンターでお酒を愉しんでいました。当時は手に入りにくかった珍しい洋酒が揃い外部からも入れたということで、芝居見物には関係なくやって来る人、また、「この幕は飛ばす」と決め込んだ人たちがゆったりとグラスを傾けていたそうです。 最後に、おやつのお話を。初めて歌舞伎座を訪れた人が「ここはデパ地下ですか!」とツッコミたくなる試食コーナーと実演販売で賑わう売店。モナカアイスにゆであずき、おせんべいに人形焼、きんつば、たい焼(※)の出来立てのニオイに誘われて、あれもこれもと買ってしまいます。昔は実演販売などはなく、ひとつ、ふたつ買って劇場で即食べるものよりも、お土産として持って帰る箱に入ったおまんじゅうなどがよく売れたそう。団体客が多かったころは幕間に一斉に買いに来るので売店はてんてこ舞い、大忙しだったそうです。29年前まで、歌舞伎座八月の恒例だった三波春夫さんの特別公演では、『チャンチキおけさ』などのBGMを流して雰囲気を盛り上げると、“三波まんじゅう”が飛ぶように売れたということです。 箱に入ったお菓子などがたくさん売れたということは、家族へのお土産にというだけでなく、ご近所などにも配るためだったのではないでしょうか。現代とは異なる人々の暮らしや習慣が垣間見えるような気もしますね。 ※実演販売の商品、並びに販売場所は、公演、季節によって変わります。
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歌舞伎愛好家、エッセイストとしてもお馴染みの元NHKアナウンサー山川静夫さんに、青春の思い出と歌舞伎座の「食」にまつわるお話を伺いました。
今回は歌舞伎座の中の売店におじゃまして、お馴染みのおやつにまつわる、さまざまなお話を伺いました。今度歌舞伎座で観劇する時に役にたつ情報もお伝えいたします。
歌舞伎座の「食」をめぐるシリーズの4回目となる今月は、歌舞伎、そして観劇に切っても切れない"縁(えん)"のあるそばのお話です。
おしゃれをして早朝から出かける一日がかりの芝居見物は、大名から庶民までが楽しむ究極の娯楽。幕間時間もたっぷりあったので、その間に味わう食事の楽しみは格別だったようです。
さよなら公演で賑わう歌舞伎座。その厨房にお邪魔し、どのように料理を作り、最も良いタイミングで提供しているか、などを取材しました。
長い歌舞伎座の歴史の中で見れば、ほんの一時期の風景ではありますが、歌舞伎座の「食」どころにまつわる思い出を少しだけ、たどってみることにいたします。