歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



歌舞伎座で女性に人気のお食事は?

 江戸時代も今も、幕間の楽しみはおいしいお食事。現在、歌舞伎座のお食事の中で最も女性に人気があるのは、「花籠膳」です。

 「歌舞伎座にお越しになる方は女性が多く、女性はそれぞれの料理の量はそんなにいらないけれど、色々な料理が並んでいる方が嬉しいと思うんです。そこで、小鉢の料理を盛り合わせたお弁当があったらいいと考え、女性スタッフみんなで意見を出し合い、『花籠膳』が生まれました」と、食堂課長の鈴木さん。小鉢の中の料理は野菜を中心にしたヘルシーで優しいものばかりです。例えば野菜を炊き合わせたり、和え物にしたりと、料理法によって味にバラエティーを持たせつつ、色の組み合わせを考えるなど、いかにも女性が気になるところに着目したお食事です。カロリーを気にする女性にとっても納得の1品でしょう。

 花籠のように華やか、という意で名が付いたというこの膳は、味や盛り付けも女性を意識しています。 「盛り付けの基本は食べやすさです。崩れにくいものやバラバラになるものは入れず、食べやすいように小鉢に盛り付けています。小鉢にはふんわりと山高に盛り付けるときれいに見えます」と、歌舞伎座厨房の紺野満料理長。「花籠膳」は竹籠に薄い和紙を敷いて小鉢を6つ入れたもの。着物の方も手に取って食べられるくらいの器なので、食べやすさも人気の要因のひとつでしょう。紺野さんは美しい盛り付けの秘訣も教えてくれました。

 「食材は器に対して大きさを考え、彩りのいい組み合わせを。そして、それぞれ立てるように盛り付けると本格的になりますよ」。

 華やかさを醸し出す彩りと盛り付け。見た目も美しく、おいしいお料理は心和みます。幕間のお食事は、歌舞伎観劇の楽しみの重要なポイントです。

歌舞伎座名物花籠膳※写真は2009年12月のものです。現在の歌舞伎座厨房のお食事については、歌舞伎座ホームページ内「 インターネット食事予約」をご覧下さい。

花籠膳のおしながき(※毎月内容が変わります)。※クリックすると拡大され、献立が確認できます。

六つの枠に仕切られたお弁当箱に彩り美しく盛り合わせ。歌舞伎座厨房の「歌舞伎膳」※写真は2009年12月の献立です。

俵型のごはんが定番の、歌舞伎座厨房の「幕乃内」※写真は2009年12月の献立です。

歌舞伎座の「食」

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