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【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。
第1章では館内の「そばどころ」についてお話ししましたが、「歌舞伎座のそば」というと、歌舞伎座外の「歌舞伎そば」を連想する方が多いでしょう。わずか10席、オープンカウンター内の調理場は2人入るのがやっとの小さなお店ですが、1日300食から350食も出るという人気店です。働いているのは、小気味のよい連携プレーで次々に注文に応えていく “おじさん”と“おばさん”。あまりに息がピッタリなので、よく個人経営の夫婦に間違えられますが、「歌舞伎そば」も歌舞伎座厨房が運営しています。ただ、営業時間が平日のみで11:30?18:45(オーダーストップ)なので、客層は観劇の方より圧倒的にサラリーマンが多く、ほとんどが常連さんです。 ここで22年間、そばを作っている長谷川正春さんは、朝6時に歌舞伎座の地下厨房に出勤し、湯を沸かし、だしをとってつゆを作りながら、そばを打っています。大量に作らなければならないので、そば粉をこねるところから機械になりますが、そばは毎日できたて。つゆのかえし(つゆのもと)は館内で出されるものと同じです。これが「歌舞伎そば」がおいしいと言われる所以(ゆえん)。固定客が多く、毎日長い行列ができるわけです。 「常連さんは、転勤したり、退職する時にはお別れの挨拶をしてくれますし、こっちへ戻ってきたり、銀座へ出てきた時に寄ってくださることも多いです。人と接する商売は人情が感じられていいですねえ」 と話す長谷川さんですが、人情が感じられるのは、会話からだけではありません。忙しそうに働いている長谷川さんたちへの気づかいから、「食べ終わったら、ざるの上にそば猪口(ちょこ)と箸を載せて片づけやすくする」というここならではの“常連客の流儀”が自然に生まれました。 “常連さんはサラリーマン”といっても、稽古の合間に浴衣姿の俳優さんたちがどっと入ってきたり、思いもよらぬ著名人が座っていたり。歌舞伎座の横という立地の特殊性を物語る光景が見られる「歌舞伎そば」。一見(いちげん)さんは、最初は戸惑うこともありますが、ぜひ一度ここでおそばを召し上がってみてはいかがでしょう。おいしさだけではない、何かに出会えそうなそば屋さんです。
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歌舞伎愛好家、エッセイストとしてもお馴染みの元NHKアナウンサー山川静夫さんに、青春の思い出と歌舞伎座の「食」にまつわるお話を伺いました。
今回は歌舞伎座の中の売店におじゃまして、お馴染みのおやつにまつわる、さまざまなお話を伺いました。今度歌舞伎座で観劇する時に役にたつ情報もお伝えいたします。
歌舞伎座の「食」をめぐるシリーズの4回目となる今月は、歌舞伎、そして観劇に切っても切れない"縁(えん)"のあるそばのお話です。
おしゃれをして早朝から出かける一日がかりの芝居見物は、大名から庶民までが楽しむ究極の娯楽。幕間時間もたっぷりあったので、その間に味わう食事の楽しみは格別だったようです。
さよなら公演で賑わう歌舞伎座。その厨房にお邪魔し、どのように料理を作り、最も良いタイミングで提供しているか、などを取材しました。
長い歌舞伎座の歴史の中で見れば、ほんの一時期の風景ではありますが、歌舞伎座の「食」どころにまつわる思い出を少しだけ、たどってみることにいたします。