歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



茶人のお殿様の城下で生まれた長い歴史を持つ茶菓子


松江城。天守閣は国指定重要文化財である。出雲松江藩の七代目藩主、松平治郷(まつだいら はるさと)は、江戸時代の代表的茶人の一人。号は不昧(ふまい)。

松平不昧ゆかりの茶室を主とする古庵の明々庵(めいめいあん)。松江城を望むことができる塩見繩手(下写真)の北堀町の赤山にある。

 さて、先のページでご紹介した歌舞伎座のおやつの小倉アイス、人形焼、たい焼、もなかに共通しているものがあります。それは和菓子になくてはならない材料、小豆です。

 もちろん、おいしいからこそ多くの和菓子の材料になっているのですが、お彼岸に食べるおはぎ、ぼた餅、赤飯など、季節の変わり目・行事に小豆を食べるのは、赤い色には魔よけの力が宿っているという信仰にも関係しているそうです。また、小豆は日本書紀や古事記にも登場しているほど、日本人の食生活には古くから関わりの深い食べ物なのです。

 そんな小豆の中でも高級品とされ、和菓子によく使われるのが大納言です。今回、ご紹介する「セコムの食」の「薄小倉」は、みずみずしい大納言を寒天と水飴を合わせた衣でからりと包み込んだ銘菓。文化6年(1809年)創業の松江市にあるお菓子の老舗、桂月堂が製造しています。

 茶道不昧(ふまい)流の祖で、江戸時代を代表する茶人の一人、七代藩主松平治郷(はるさと)公で知られる松江には、数多くの和菓子処があることで有名。それぞれが切磋琢磨を続け、長い歴史の中で培われた秀逸な茶菓子が作り伝えられています。そんな中で「セコムの食」のスタッフがぜひにとお薦めするのが「薄小倉」です。代々受け継がれている蜜に漬け込んだ大納言は、職人がじっくり炊き上げ、色、形ともに整ったもののみを使用しています。表面のカリッとした歯ざわり、ひと粒ひと粒の味わいが生きた大納言のコク、寒天の上品な甘みを一度にお楽しみください。

 

歌舞伎座の「食」

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