歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



じっくり丁寧に炊きあげたあずきの滋味を味わって!冷やしても温めても絶品「うすかわまんじゅう」

 創業から100余年、宮川菓子舗は四国の小さな町で、地元の人に愛されながら変わらぬ味を守り抜いてきた老舗です。
「うちは小さなお店やし、こんな小さな町で5代も続けてこられたのは地元のお客さんを大切にしてきたからだと思うんです」と謙虚に語るのは、3代目、 今年86歳の久治さん。戦時中は海軍に従軍し、激戦地として知られる、あのレイテ沖海戦から生還、戦後の激動期に家業を守り、「宮川のうすかわまんじゅう」を伝承してきました。

 「戦争のときに命を助けられ、こうやってお店を続けられている。その感謝の思いがあるから、仕事には手が抜けないんです」。そんな久治さんの心も継いだ4代目の憲三さんと5代目の知也さんと共に、今やめったに行われなくなった「自家製餡」を貫いています。

 うすかわまんじゅうの餡に使うのは、良質な北海道十勝産のあずき。粒が崩れないように炊いては水洗いを繰り返し、小さなあずきの芯までふっくら炊きあげていきます。
「あんこを食べてもらいたいんです」という久治さんの言葉どおり、あずきの滋味たっぷりのこし餡は、淡い甘さで後味さっぱり。いくつでも食べられそうです。餡を包む皮はところどころ厚いところとうすいところがあり、その食感の微妙な違いも後を引く理由。電子レンジや蒸し器で温めればホクホクに。冷凍してシャーベットのように(!)食べるのもおすすめです。

宮川菓子舗の3代目宮川久治さん

宮川菓子舗の3代目宮川久治さん。餡にこだわる久治さんによると「豆が一番大事。皮が黒いのが送られてくると、『薄い色のに替えてくれ』というんです」。

豆を炊いては洗う「渋切り」には職人の勘が必要です。100%手作りで保存料はまったく使いません。

左:湯気と共にふっくらと蒸しあがったできたての「うすかわまんじゅう」。昔からの味を守っています。
右:宮川菓子舗の3代目宮川久治さんと5代目知也さん。





歌舞伎「食」のおはなし

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