歌舞伎いろは

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減農薬玄米の自家精米から手塩にかけたお米の味がする「堅焼き煎餅とゴマだくさんな煎餅」

 東京下町の住宅街の一角にたたずむ小さな作業場から生まれる逸品「堅焼き煎餅とゴマだくさんな煎餅」。店の主、佐々木康祐さんの「米の味がする煎餅が作りたい」との信念の結晶です。

 佐々木さんの作業場では玄米を精米するところから始める、原点に還った煎餅作りが行われています。今現在、都内で玄米を精米して煎餅作りをしている煎餅屋はほとんど無くなってしまいました。それだけではなく、原料のお米、副材である醤油、砂糖などの原料も契約栽培された国産の食材を使うというこだわりよう。なかでも国産の胡麻は、全流通量の数%にも満たない希少なものだそう。その胡麻を少しずつ石臼でつき上げていくのが「ゴマだくさんな煎餅」です。

 「ゴマだくさんな煎餅」は2度の乾燥工程を経て焼きあげ、甘めの醤油に浸して、さらに乾燥させて完成。10年の経験が必要というほど火床での加減が難しい固焼きは、多くても一度に30枚しか焼けないといいます。玄米から約1週間、手塩に掛けて出来上がる堅焼き煎餅は、パリンと割るとお米の香りがふわり…!

 胡麻の風味が溢れんばかりの「ゴマだくさんな煎餅」と、米の美味しさがダイレクトに感じられる「堅焼き煎餅」。職人手作りならではの滋味をたっぷり味わってください。

佐々木康祐さん

「食べているうちに、なんだか温かさを感じる。それこそが職人が作ったものなんだよね」と、佐々木康祐さん

練った生地は型で抜き、じっくりと乾燥

生地に胡麻を投入するときは、一粒もつぶさないよう気をつかうのだそう

冬でも35℃、夏場なら50℃近くにもなる火床の前で目の離せない作業。火加減を操れるようになるには、10年を超える熟練の技が必要

 

焼き上げた煎餅に、一気に本醸造丸大豆醤油を絡ませる

 

「良いものを作り、人様に喜んでもらう。人一倍手をかける分、得られる喜びも大きい」。佐々木さんを慕い、煎餅作りに打ち込む職人たち


歌舞伎「食」のおはなし

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