歌舞伎いろは

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くらしの今と昔

行灯
行灯

【行灯】
和紙を透かして柔らかにゆらゆらと揺れる行灯の明かり。江戸の頃ではどこでも当たり前に使われていました。

行灯
  暗かった行灯の光

 日が暮れると同時に真の闇に落ちる江戸の夜、人々が頼りにしたのは行灯(あんどん)のあかりでした。ただしその明るさは、現代の60ワット電球に比べるとだいたい50分の1程度でしかなかったと言われています。スイッチひとつで煌々とあかりが灯る現代の様子を見たら、江戸時代の人はきっとすさまじい妖術だと思うことでしょう。

 行灯は木や竹、銅線の枠に紙を貼って作ります。中に置いた小さな皿にイ草や綿糸で作った灯心を入れて火を点すのです。

 ひとくちに行灯といっても、部屋の中に置くタイプから、手持ちタイプ、屋外に掛けておくタイプなど、さまざまなスタイルがありました。文字を書いて看板の役目を果たすものや、巧妙な仕掛けをした回り灯籠(とうろう)も、行灯のバリエーションです。江戸がしばしば火事に悩まされ裸火を嫌ったことは、行灯が発達する要因にもなりました。

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