歌舞伎いろは
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江戸時代、炭は高価なものでした。そのため庶民の燃料として薪が利用されました。   雑木林は人の手によって伐採されることで、陽光を浴びて育ちました。

其の三 薪を使ったクッキングとは

 現代の食卓から考えるとかなりシンプルな食事ですが、だからといって現代に比べて調理が簡単だったというわけではありません。米飯でも野菜でも調理時の燃料には、炭より安価な薪が多く使われました。

 江戸の郊外には雑木林がありましたが、そこはかつて荒れ果てた土地でした。人々が木を植え、若木を間引いて燃料にすることで、雑木林は生き生きと育ち、後の武蔵野の森となったのです。

 ただし木を薪にするためには薪割りという重労働が必要でした。また薪に火をつけて燃やすのも、手間ひまのかかることでした。もちろん薪が燃え出せば煙が上がり、灰が舞います。長屋の狭い空間なら、夏場はその熱にも苦労したはずです。

 そこで、気のきいた長屋には換気のための天窓がついていました。現代人から見ればおしゃれなスタイルですが、江戸の人々にとっては生活の知恵から生まれたものだったのです。

くらしの今と昔

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