歌舞伎いろは

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帯だけでなく、神社仏閣で使われる金襴の布なども生産。

「技の桐生」ならではの唐織・今昔

 新伊美術織物研究所主宰の新井實さんは、そうした桐生の高級織物の流れを汲む唐織の帯を作り続ける一人。方眼紙とパンチカードを使って織る昔からの技術にコンピュータを導入、まるで絵画のように精緻な作品を生産できるようにした。

 「もともとパンチカードは『穴あり』『穴なし』の二つで柄の情報を伝達するもの。これはコンピュータの2進法と同じです。そこに色の解析を加えて設計図を作ります。手描きで方眼紙に色を付けていたのではやり直しがききませんが、コンピュータなら細かい修正が出来る。作業の無駄が少なくなり、より細かい絵が作れるようになったのです」(新井さん)

 作業の簡略化ではなく、細密化のためのコンピュータ導入。「方眼の1マスを細かくすればするほど、より本物に近い仕上がりに。人間の目が識別できる色は約120前後なので、その範囲内でデータを作ります」(新井さん)それだけの色を目いっぱい使えるのは、この細かなデータが作れるから。絵画にこめられた心までも織り出せる、それが桐生の技術なのだ。

伝統工芸士 新井實さんプロフィール

新井實(あらい みのる)
「桐生織」伝統工芸士
1932年生まれ。群馬大学工学部繊維工学科卒業。
「絵画織」の技法で特許を取得。
2005年第一回ものづくり日本大賞優秀賞を受賞、「ものづくり名人」認定
桐生織物協同組合常務理事
新伊美術織物研究所主宰
アライデザインシステム有限会社 会長

アライデザインシステム有限会社 TEL: 0277-47-3211



伝統工芸とハイテクの融合をライフワークとして手がける新井實さん。「技の桐生」と言われた土地に誇りを持つ上州人だ。

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