歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



粒が大きく、品質もよい小布施の栗。
現代では栗そのものよりも、栗菓子でいっそう人気を集める小布施。高井鴻山の子孫・市村次夫さんも、栗菓子の有名店、小布施堂の社長だ。新栗の時期は特別な菓子を用意し、小布施を訪れる人々をもてなす。

北斎も食べた?! 栗菓子の町・小布施の文化事情

 上質な栗を求めて小布施に人が集まり、市が立つ。栗だけではなく、周辺の村々の産物も市に並ぶ。こうして小布施には大きな市場が誕生し、活発な経済活動が行われるようになったとか。財を成し豊かになった人々は、その財産で町の事業などにも貢献したようだ。

 そうした中で、幕末に現れたのが高井鴻山。京都や江戸で儒学や陽明学、蘭学まで学び、大塩平八郎や佐久間象山、勝海舟らと親交を結んだという人物だ。帰郷してからも、経済活動から得られる情報や、彼自身の豊富な知識と知恵、何より風雅を愛する彼の人柄を慕って、文化人や志士たちが訪ねてきたという。

 その客人の一人が、あの葛飾北斎だ。当時北斎は、数回にわたって鴻山のもとに逗留し、彼の依頼で祭り屋台の天井絵を描くなど、精力的に小布施で創作活動も行っている。自らも書や水墨画をよくする鴻山だけに、40歳以上の年齢差を越えた友人として、北斎は親しく思っていたのだろう。83歳で初めて小布施を訪れてから、数回にわたり鴻山の家に足を運んだそうだ。

鴻山の交友の広さを示すものが、小布施堂に数々残されている。鴻山に贈られた北斎手彫りのお盆(左)。訪ね来る志士に危険が及んだときのため、高井は屋敷に抜け穴や隠し階段を用意していた(右)。
高井鴻山記念館

住所

 : 

長野県上高井郡小布施町大字小布施805-1

TEL

 : 

026-247-4049

開館時間

 : 

9:00~17:00(4月~9月は18:00まで時間延長)

休館日

 : 

年末(12/29~12/31)

入館料

 : 

大人300円・高校生150円 ※小・中学生以下無料

HP

 : 

http://www.obusekanko.jp/enjoys/museum/obuse142.php

北斎館

住所

 : 

長野県上高井郡小布施町大字小布施485

TEL

 : 

026-247-5206

開館時間

 : 

9:00~18:00 (4月~9月)、9:00~17:00(10月~3月)

休館日

 : 

12/31、1/1(時間短縮開館)

入館料

 : 

一般500円・高校生300円 ※小・中学生以下無料

HP

 : 

http://www.hokusai-kan.com/

小布施滞在中に、晩年の大作をいくつか描きあげた葛飾北斎。そのひとつである上町祭屋台の天井絵「怒涛図」は、彼の肉筆画を中心に集めた美術館・北斎館で観ることができる。

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