歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



元気一杯に咲く濃いピンクの河津桜。

ぬくもりが華やぎをつれてくる伊豆の春

上2点:一足早い花見に、心が華やぐ。右上は河津桜の原木。
他3点:邪気をはらう桃、稲取の名物・金目鯛、祝い事につきものの、稲取の子ども三番叟など、子どもの健やかな成長と幸せを願って、手作りされる縁起物をつるす、稲取の雛のつるし飾り。制作体験もできる。

 もともと早咲きの品種、伊豆の温暖な気候という条件がそろい、河津桜は2月上旬に咲く。桜といえば、いわゆる染井吉野に代表される、一重の淡いピンク色の花を思い浮かべる人が多いが、河津桜の花びらはもっと濃いピンク色だ。この強いエネルギッシュなピンクが、まだ寒さに縮こまっている心を元気にしてくれる。川沿いに植えられた桜並木をそぞろ歩けば、誰もが「春が来た!」とウキウキした気分になるはずだ。

 伊豆の早い春のもうひとつの名物、稲取の雛のつるし飾りは、江戸時代後期から続くといわれる、伝統的な行事。縮緬細工の縁起物を、雛人形の両脇につるすこのスタイルは、母から娘へ、孫へ贈る愛の形だ。縮緬細工は、娘がやがて嫁ぎ、女の子を授かったときのために、母親がこつこつと作りためておくもの。伝統的なスタイルは、直径23~5cmの吊り輪に5本の糸をたらし、一本あたり11個の細工物をつけて、雛人形を中心に一対飾る。しかし家事の合間に作るものなので、110個用意できないことも。すると親類縁者や近所の女性たちが力をあわせて作り足し、飾りを完成させてくれるのだという。一対ではなく二対、三対と飾られているのは、そうした周囲からの頂き物だとか。雛のつるし飾りは、祖母や母、周囲の女性たちのあたたかな愛の形。桜も雛も、伊豆の春はぬくもりが華やぎを連れてくる。

河津桜まつり

開催期間

 : 

2月7日~3月10日

HP

 : 

http://www.kawazu-onsen.com/

稲取温泉 雛のつるし飾りまつり

開催期間

 : 

1月20日~3月31日

HP

 : 

http://www.inatorionsen.or.jp/hina_sp/

絹の会(雛のつるし飾り製作体験工房)

TEL

 : 

0557-95-0722

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