歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



 
館山市立博物館(八犬伝博物館)


館山城天守閣から館山湾を望む

今回も引き続き南房総に所縁の深い『八犬伝』のお話をいたします。(前回、お読みになっていない方はコチラへ→【歌舞伎コラム】壮大な伝奇長編ロマン『南総里見八犬伝』

『八犬伝』と聞くと、NHKの人形劇『新八犬伝』を思い浮かべる方も多いでしょう。辻村ジュサブロー作の人形が独特の雰囲気を醸し出す、壮大な伝奇時代劇ロマンは、当時幅広い世代の方々から支持を得て、人気番組となりました。放送されたのが1973年〜1975年ですから、40代以上の方は、劇中繰り返された「我こそは玉梓(たまずさ)が怨霊〜」という台詞に聞き覚えがあると思います。前回ご紹介した館山市の八犬伝博物館にはこの辻村ジュサブロー作の新八犬伝人形も展示されていて、江戸時代の『南総里見八犬伝』の版本や、錦絵、資料を展示し、八犬伝に関する一大情報センターになっています。

一方、20代30代の方には、“『八犬伝』は世界的に大人気となった漫画『ドラゴンボール』のもとになったお話のひとつ”とご紹介したほうが親しみを感じるかもしれません。『ドラゴンボール』の原作は少年誌に連載された漫画でしたが、アニメになり、実写版のハリウッド映画にもなりました。『ドラゴンボール』では、文字が浮かび上がる8つの霊玉ならぬ、星が浮かび上がる7つのボール(一星球、二星球…)を集めると神龍(シェンロン)が現れてどんな願いでも一つだけ叶えてくれるというものでした。

ちりぢりに散った玉(球)は集めたくなる。集まったら特別な力になる。
そしてそれぞれの玉(球)を持つ勇者にドラマが生まれ、壮大なストーリーが展開される。そんなところが、長い間人々を魅了し続ける両作品の共通点です。

さて、下の大首・役者絵は『義勇八犬伝』と題されたものですが、だれを描いたものかおわかりになりますか? 歌舞伎で観た記憶、30年以上前に人形劇で観た記憶を手繰って、挑戦してみてください!

文/栄木恵子(編集部)

上の段、左から右へ:犬江親兵衛 仁(いぬえしんべえ まさし)、犬川荘助 義任(いぬかわそうすけ よしとう)、犬村大角 礼儀(いぬむらだいかく まさのり)、犬坂毛野 胤智(いぬさかけの たねとも)
下の段、左から右へ:犬山道節 忠与(いぬやまどうせつ ただとも)、犬飼現八 信道(いぬかいげんぱち のぶみち)、犬塚信乃 戌孝(いぬづかしの もりたか)、犬田小文吾 悌順(いぬたこぶんご やすより)
(歌川国芳画。早稲田大学演劇博物館蔵。無断転載禁(c)The TsubouchiMemorial Museum, WasedaUniversity, All Rights Reserved)

歌舞伎と旅

バックナンバー