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海老蔵が語る『弁天娘女男白浪』『七つ面』

海老蔵が語る『弁天娘女男白浪』『七つ面』

 2016年1月3日(日)から始まる新橋演舞場「初春花形歌舞伎」に出演の市川海老蔵が、出演演目『弁天娘女男白浪』と歌舞伎十八番の内『七つ面』について語りました。

生誕200年の年明けに黙阿弥作品を

 文化13(1816)年に河竹黙阿弥が生まれてちょうど200年となる来年、年頭を飾るのが『弁天娘女男白浪』です。「黙阿弥作品は新しい。色あせることがありません。根本的なところがよく構築されていて骨太です。その上にせりふが乗っているのであって、せりふが素晴しいからそこに目がいきがちですが、物語として実によくできていると思います」と、海老蔵は黙阿弥への称賛を惜しみませんでした。

 

 日本駄右衛門を筆頭にした五人の盗賊はそれぞれ対照的で、黙阿弥が「人というものをよく見ている」と感心しきりの海老蔵。自分のなかでは、「浜松屋の主役は弁天小僧、稲瀬川は南郷、(極楽寺の)屋根から山門は駄右衛門が主役だと思う」と言い、その三人の魅力が前に出てくる今回の上演が、最も演目の面白さが伝わるのではと期待を寄せます。

 

 今回、海老蔵が演じるのは7年ぶりの弁天小僧。「せりふでも自分を“ほんの頭数”と言っていますが、物語として主役でも立場としては一番の下っ端。そこにスポットを当てたドラマなので、偉そうにしてもいけない。軽さを出さないといけないと思いますが、大きな演目なのでつい肩に力が入ってしまいます。見てはいませんが、理想は十五代目羽左衛門。きっとさらさらっとやっていたのではないでしょうか。さらさらやって説得力があるほどいいことはありません。七五調をもう一度勉強し、そこを目指したいと思います」。

 

よりよいものを目指して新たな『七つ面』に

 平成21(2009)年、新橋演舞場の正月興行で復活上演を果たした『七つ面』は、七つの面を踊り分けるものでしたが、今回は「もちろん、面の踊り分けもありますが、劇中劇にしようと考えています」と、海老蔵は新たな構想を明かしました。

 

 歌舞伎十八番の復活上演を目指してつくり上げた『七つ面』ですが、「これでいい、ということはありません。よりよいものを残す努力をしなければ」と海老蔵は言います。それは、伝統文化を守り継承していくうえでも、演目を上演する人がその時代に果たさなければならない義務であるとも語りました。

 

 さらに今回は、公演中にTVアニメの「名探偵コナン」でも、『七つ面』を題材としたストーリーが放送されるので「コナンを見ても楽しめるのでは」と言い、また、登場人物も多くなって正月公演にふさわしい華やかな舞台になるとアピールしました。

 新橋演舞場「初春花形歌舞伎」は、来年1月3日(日)から24日(日)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトチケットホン松竹にて販売中です。

2015/12/17