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歌舞伎座「十二月大歌舞伎」夜の部Bプロ初日も開幕

歌舞伎座「十二月大歌舞伎」夜の部Bプロ初日も開幕

 『壇浦兜軍記 阿古屋』 左より、中村梅枝、坂東彦三郎、坂東玉三郎

 

歌舞伎座「十二月大歌舞伎」夜の部Bプロ初日も開幕

 『壇浦兜軍記 阿古屋』 左より、中村児太郎、坂東彦三郎、坂東玉三郎

 

 

 12月4日(火)、歌舞伎座「十二月大歌舞伎」夜の部のBプロが初日を迎え、『壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき) 阿古屋』の遊君阿古屋を中村梅枝が勤め、翌5日(水)には中村児太郎が阿古屋を勤めました。

 悪七兵衛景清の居所を聞き出せとの鎌倉方からの厳命を受け、智仁に優れた重忠と、詮議にかこつけて遺恨を晴らそうという岩永が登場して始まる『阿古屋』。岩永が姿を現すと客席にどよめきがおこりました。玉三郎の岩永左衛門が人形振りで歩き、腰を下ろして太い眉をぴくつかせたところで、いよいよ阿古屋の登場です。

 

 「筒に生けたる牡丹花の、水上げかぬる風情なり」と、沈んだ様子ながらも伊達兵庫の鬘(かつら)にかんざしをきらめかせながら、豪華絢爛な打掛をまとった阿古屋が花道を歩いてきます。梅枝の醸し出す古風な雰囲気が重みとなって阿古屋の存在感を出し、児太郎の表情には純粋無垢な阿古屋の心根が表れていました。

 

 岩永のせりふはすべて義太夫の語りとなりますが、人形振りの動きの面白さが、冷静沈着で理詰めで話を進める重忠と好対照をなします。阿古屋は、重忠が事を分けて問うても、「何を言うても知らぬが真実」と言い、身ごもった子を拷問すると脅す岩永には、「そんなこと怖がって、苦界が片時なろうかいな」と一歩も引かず、二人を「雪と墨」と言い放ちます。阿古屋という女性の強さとはかなさを、二人とも存分に見せ、三段の上できれいにきめました。

 

 詮議の最初の責め道具は琴。弾きながら「かげというも月の縁 清しというも月の縁」と唄い出し、景清のことは知らないという阿古屋。二人が舞台で琴の演奏を披露するのは、昨秋の『秋の色種(あきのいろくさ)』以来ですが、前回と異なり一人での演奏です。続いて馴れ初めと深い仲になった経緯を聞かれ、今度は三味線を弾きながら、「翠帳紅閨(すいちょうこうけい)に枕並ぶる床のうち」と唄い出します。

 

 三味線は長唄の三味線との合奏に続き、下手(しもて)に出た長唄の三味線に合わせ、替手(かえで)を引く難しさが加わります。さらに、義太夫に合わせて見せ場の一つとなるサワリもあります。悲しむ阿古屋は、今度は胡弓を弾けと命じられ、「吉野龍田の花紅葉」と弾き始めますが、ここで浮かれた岩永が阿古屋の真似をして場内を沸かせます。岩永の滑稽ぶりは詮議の厳しさを際立たせると同時に、阿古屋に向けられた緊張の高まりをほっと解きほぐしていました。

 

 演奏に感じ入った重忠から、ようやく詮議落着と言い渡された阿古屋。絵面できまった幕切れに惜しみない拍手が送られました。

 Bプロでは続く『あんまと泥棒』のあと、新作歌舞伎舞踊『傾城雪吉原』が上演されます。はらはらと雪の舞い散る中に浮かび上がる玉三郎の傾城。目鼻立ちを強調させた愛嬌ある岩永から一転、ため息の出るほど美しい傾城での登場です。物憂げな傾城が、新吉原の雪景色を描き出します。雪のはかなさにうつろな恋をかけながら、春を思い、秋へ、そして冬と四季の移ろいをゆったりとした舞で見せます。まさに眼福のひとときでBプロが幕を降ろしました。 

 

歌舞伎座「十二月大歌舞伎」夜の部Bプロ初日も開幕

 『傾城雪吉原』 坂東玉三郎

 歌舞伎座「十二月大歌舞伎」は12月26日(水)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2018年12月06日

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