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米吉、児太郎がシネマ歌舞伎『沓手鳥孤城落月/楊貴妃』舞台挨拶に登場

米吉、児太郎がシネマ歌舞伎『沓手鳥孤城落月/楊貴妃』舞台挨拶に登場

 

 

 1月14日(月・祝)、東京 東劇でシネマ歌舞伎『沓手鳥孤城落月/楊貴妃(ほととぎすこじょうのらくげつ/ようきひ)』舞台挨拶に、中村米吉、中村児太郎が登場しました。

敵方としてにらまれたときの迫力

 歌舞伎座出演の合間をぬって東劇に駆けつけた二人は、登場を待ちわびる満席のお客様の大きな拍手で迎えられました。「玉三郎さんが淀の方をなさいまして、私は、その息子秀頼の正室、千姫なんですが、豊臣と戦っている徳川家康の孫娘ということで、それはそれは淀の方にさいなまれ、いじめられております」と、米吉が出演作『沓手鳥孤城落月』の自分の役をユーモアたっぷりに紹介。「普段、余りかからない『奥殿』の場の常磐木」を演じた児太郎も、徳川方の役での出演でした。

 

米吉、児太郎がシネマ歌舞伎『沓手鳥孤城落月/楊貴妃』舞台挨拶に登場

 淀の方に敵方として見られ、「蛇ににらまれた蛙ってこういうことだなと」、米吉がその迫力を例えると、児太郎が鋭い突っ込みを入れて場内に笑いを起こしました。しかし、その児太郎も「目なんか合わせられない」ほどだったとのこと。玉三郎の演技、役に対する姿勢に圧倒されたという二人ですが、その迫力のほどはシネマ歌舞伎でじっくりご覧いただけます。「でも、常磐木だけが世間が淀の方をどう見ているかを述べている、(身分をやつしてともに生活するなか)淀の方に対しての情もありながら、それを押し殺して自分の任務を遂行する、そこを一番に考えるように言われました。難しかったです」。

 

今はシネマ歌舞伎として楽しめる

 稽古に入る前に、玉三郎から二人だけの稽古があったときのことを振り返り、「おじ様が淀の方になっていらっしゃるので、ピーンと張りつめた空気で本当にすごかった」と児太郎が言えば、「咳払いひとつできない空気でした」と米吉。千姫と淀の方の関係に加え、「米吉としての部分で、こうしたほうがいい、こうしてはいけないと思いながらやっているのを、玉三郎のおじ様がご覧になっている」、その二重の緊張感は、「どっちが本当で何が嘘だかわからない状態」だったと、稽古がいかに真剣勝負だったかを明かしました。

 

米吉、児太郎がシネマ歌舞伎『沓手鳥孤城落月/楊貴妃』舞台挨拶に登場

 そんな一昨年の舞台が、シネマ歌舞伎になってみると、「大坂城が落城する日の芝居ですが、臨場感あふれるカット割りで、お芝居を見ているときよりも人物像を近く感じられる」(米吉)、「映像になって、なるほどそういうことをおじ様が思っていらっしゃったんだとか、舞台をご覧になった方も、同じものを観ているのに新しい発見があるようになっている」(児太郎)と、二人とも客観的に作品として楽しむ、感じることができたと言います。

 

 もう一つの『楊貴妃』については、米吉が「お琴や胡弓など、歌舞伎とはまた違った素敵な曲が付いています。音を録るにもすごく気を使われたと思うので、歌舞伎座で聴かれたときより臨場感があり、かつ感動的に聴こえるんじゃないか」と言うと、児太郎は「おじ様がおつくりになった『楊貴妃』の世界に自分が入ったような感じで見られ、幻想的」と、それぞれに魅力を感じ、楽しんだ様子でした。 

 

スクリーンから飛び出した二人の今後に期待

 一昨年の舞台から今月の歌舞伎座まで、着々と舞台を積み重ねている米吉と児太郎。児太郎にとって『沓手鳥孤城落月』は、祖父の七世芝翫が一日だけ出演した最後の舞台であり、五世歌右衛門にとっても最後の舞台で、何度も淀の方を勤めた六世歌右衛門も大事にしており、「成駒屋にとって大事な作品」と特別な思いがあります。その舞台に出演したことも踏まえ、「自分たちも歌舞伎界の戦力となれるよう、お稽古や芸道精進することが、今の私たちができる唯一のこと。できるすべてを尽くして2019年を走っていきたい」と力強く宣言。

 

 米吉は、残りわずかな平成を「愛おしみながら、一昨年から去年の前進よりも、去年から今年の前進する幅が少しでも広がるように、日々の舞台を勤めたい」と、意欲的な抱負を述べ、「シネマ歌舞伎をお楽しみいただき、劇場へもぜひともお越しいただいて生の舞台の楽しみを感じていただけたら」と、笑顔でアピールしてトークを締めくくりました。同い年の二人の今年の飛躍に大きな期待の拍手が送られたところで、『沓手鳥孤城落月/楊貴妃』の上映がスタート。2019年最初の新作シネマ歌舞伎、ぜひ、お近くの映画館でご覧ください。

 

 

シネマ歌舞伎『沓手鳥孤城落月/楊貴妃』作品詳細

「シネマ歌舞伎」公式サイトはこちら

2019/01/15