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「八月南座超歌舞伎」リミテッドバージョンも開幕

 8月4日(日)、南座で、南座新開場記念「八月南座超歌舞伎」のリミテッドバージョンが初日を迎えました。

 リミテッドバージョンでは、『今昔饗宴千本桜(はなくらべせんぼんざくら)』のみを、配役を変えて上演します。

 

 発端の映像の後に行われる口上では、中村獅童は本公演と異なり、素顔に黒紋付姿で出演。今回、佐藤四郎兵衛忠信役として初めて主役を勤める澤村國矢と、これまで立師や黒衣として超歌舞伎を支え、このたび初めて青龍の精を演じる中村獅一を紹介し、「通常にも増して、熱い応援をお願い申し上げます」とお客様に呼びかけました。

 

 物語は神代の時代の帝都桜京(おうきょう)から始まります。ご神木の千本桜を守っているのは、蝶紫演じる初音の前。桜の満開を祝っているところへ突如、邪悪な青龍がスクリーンに現れ、千本桜を狙い襲ってきます。枯れた千本桜の傍らで、初音の前は初音ミク演じる娘の美玖姫に桜の再生を託し、息絶えるのでした。

 

 それから1000年後の桜京、花のない千本桜の前には、美玖姫の姿が。「世の中に絶えて桜のなかりせば」と一人で唄い舞う美玖姫に、場内から「初音屋!」というかけ声が飛びました。そんな彼女のもとに、國矢演じる忠信が現れると、あちこちから「紀伊国屋!」「國矢!」とかけ声がかかり、満場の拍手で迎えられました。

 

 美玖姫と忠信、ともに桜を守る運命の二人が、過去の無念を嘆くところに、青龍の眷属が襲撃しますが、二人は見事なぶっ返りを披露して迎え撃ちます。眷属を追って引っ込む花道では、國矢がたっぷりと狐六方を見せました。一方、美玖姫の前に立ちはだかったのは獅一演じる青龍の精。客席は青色のペンライトで迎えます。美玖姫が思い通りにならぬと知り、襲いかかる青龍の精。そこへ、「待て、待ちやがれ!」の大音声とともに、赤い衣裳の忠信が駆けつけました。

 

 激しい立廻りの挙句、青龍にとどめをさしながら、自らも力尽きそうになる忠信。最後の力を振り絞り、「数多(あまた)の人の言の葉」と「桜の色の灯火」を届けてほしいと呼びかける、忠信の叫びが舞台に響きます。お客様から寄せられたかけ声と、無数の桜色のペンライトから力を得て、復活した千本桜と忠信たち。劇場が桜一色に染まるなか、華々しく幕となりました。さらにカーテンコールでは、何度も感謝を伝える國矢に、客席が惜しみない喝采を送る熱い光景も。本公演とはまた違う魅力のリミテッドバージョンは、あと7回の公演です。ぜひ南座へご来場ください。

 南座新開場記念 「八月南座超歌舞伎」は8月2日(金)から26日(月)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。舞台写真は、舞台写真館(スマートフォンはこちら)でお楽しみください。

2019/08/06