ニュース

幸四郎、猿之助が語る、図夢歌舞伎『弥次喜多』

幸四郎、猿之助が語る、図夢歌舞伎『弥次喜多』

 

 12月26日(土)からAmazon Prime Videoでのレンタル配信が始まる図夢歌舞伎『弥次喜多』に出演する松本幸四郎、市川猿之助が、作品についての思いを語りました。

 平成28(2016)年から、歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」で4年にわたり毎年上演された『東海道中膝栗毛』。幸四郎と猿之助による弥次喜多コンビが繰り広げる珍道中は、毎回斬新な進化を重ね、高い人気を得てきました。現代劇の『狭き門より入れ』を原作として描かれた今回の『弥次喜多』は、シリーズ初のSF群像劇。これまでにない世界観で繰り広げられる弥次喜多の新しい旅が、オンライン配信による図夢歌舞伎の作品として登場します。

 

幸四郎、猿之助が語る、図夢歌舞伎『弥次喜多』

 

図夢歌舞伎と『弥次喜多』

 幸四郎と猿之助は、今年6月から配信が始まった図夢歌舞伎の第一作目となる『忠臣蔵』へも出演。図夢歌舞伎について、幸四郎は半年前に思いを馳せながら、「劇場がいつ開くかわからない状況のなか、お芝居ができる唯一の場でした。配信する歌舞伎というものが、観ていただく方にも演じる側にとっても、一つの選択肢として続いていってほしい。こうしてまた『弥次喜多』という作品が誕生することはうれしいことです」と、感慨深げに語ります。

 

 猿之助は、「これからの歌舞伎はやっぱり、舞台と配信と両方、進んでいくべきだと思う」と力を込めます。本作で監督、脚本、演出も担当した猿之助が新しい図夢歌舞伎の原作に選んだのは、自身が平成21(2009)年に出演した、前川知大作・演出のPARCO劇場レパートリー作品、『狭き門より入れ』。「パンデミックの話で、10年前は絵空事でしたが、今はまさに自分たちの身に迫っているように感じられます。観ている方の背筋がゾクッとするようなものにしたかった」。そんな熱い思いをもって、猿之助自ら作品使用の依頼を行ったと言います。

 

幸四郎、猿之助が語る、図夢歌舞伎『弥次喜多』

 

『弥次喜多』の魅力

 二人が演じる弥次喜多コンビによる冒険譚も、これでいよいよ5作目です。弥次喜多コンビについて、「行ったことがないところへ行ってみたいという興味が強くて、失敗や成功ということは考えず、どこへでも旅できる。いつの時代でも存在しうる二人、なんでしょうね」と話す幸四郎。「(弥次郎兵衛は)何ごとも積極的に楽しむ人なんです。それがすごく魅力。そして一人ぼっちじゃない」という言葉に、役への深い思いがにじみます。

 

 猿之助は、「原作の物語は面白いが、弥次喜多らしいおかしみはない。そこをどう喜劇風にもっていくか」を考えたそう。「でもいざやってみたら、自然に出ていた。僕らが積み重ねてきた信頼関係があったからだと思います。そんな余裕はないはずなのに、アドリブになると皆生き生きして(笑)。脚本、弥次喜多という素材、役者の関係、それぞれのよさ」が重なったと、作品への自信を見せます。さらに、「幕開きはハリウッド映画みたいに凝って。音楽も新しくつくっています」と、こだわりをのぞかせました。

 

世界に通じる作品

 「実際の撮影は数日間。毎日、舞台が終わった後に撮影していました」と、幸四郎は振り返ります。「限られた時間のなかで、精一杯つくった」という猿之助は、「カット割作成や、ADみたいなこともやって、今までで一番大変だったんじゃないかな。でも現場に立つ機会が少ないなか、そういうことができる幸せを感じました」と、製作のなかでいだいた思いを明かしました。

 

 そうした生みの苦しみを経て完成した『弥次喜多』について、「全世界に共通するようなストーリーの歌舞伎作品は初めてだと思います」と幸四郎。猿之助も「今だからこそ、これは絶対、世界に受けると思う」と太鼓判を押します。さらに、「国内で好評であれば世界配信もできるかもしれない。だからエンドロールに、世界にも通用するような仕掛けをしているんです」と、目を輝かせながらアピールしました。

 図夢歌舞伎『弥次喜多』は、12月26日(土)からAmazon Prime Videoでレンタル配信が始まります。作品のご視聴はこちら

 

2020/12/25