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「吉例顔見世大歌舞伎」『歌舞伎絶対続魂』の稽古場から

2025年11月2日(日)から始まる歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」夜の部『歌舞伎絶対続魂(ショウ・マスト・ゴー・オン) 幕を閉めるな』の稽古場で、出演の松本幸四郎、片岡愛之助、中村獅童、坂東彌十郎、中村鴈治郎が、作・演出の三谷幸喜とともに公演について語りました。
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最高の喜劇を
令和元(2019)年6月に歌舞伎座で『月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと) 風雲児たち』が上演されてから6年。このたび新たな三谷かぶき『歌舞伎絶対続魂 幕を閉めるな』が歌舞伎座にお目見得します。三谷は「今回の私のテーマは、歌舞伎座始まって以来の割れるような拍手と笑いに満ちたコメディをやりたいということです。こんなに笑いのセンスのある俳優さんが集まった劇団はそうはいない。フルに活かして最高の喜劇をつくりたいと思っています」と切り出しました。

「三谷さんを100%信頼している」と言う幸四郎は、「書いていただいた作品をどう表現するかは俳優次第ですので緊張はあります。なんとか、三谷さんのこの傑作を、(舞台上で)傑作にしたいという思いでいっぱいです」と気合十分です。三谷から「今回はこれまでと違うふざけたキャラクター」と役どころを紹介された愛之助は、「三谷さんからいろいろなことを求められることが俳優としても楽しいですね。全力で千穐楽まで皆で頑張っていきたい」と、穏やかに闘志を燃やします。

獅童は、「歌舞伎にはさまざまなタイプの作品があると知っていただき、このような笑っていただけるコメディの作品もあると知っていただけたらうれしいです」と意気込みます。今回女方を勤める彌十郎は、「稽古場ではいつも大爆笑で、これをお客様にも共有していけたら。三谷さんとご一緒するといつも、頭のなかはどうなっているんだろうと、衝撃と感動を覚えます」と、満面の笑顔。初の三谷かぶきへの出演を喜ぶ鴈治郎は、「先ほどもいいアドバイスをいただいた。身を任せながらも自分で役をつくっていくことの面白さをつくづく感じています」と、稽古の充実ぶりを伝えました。

日々進化する舞台を楽しんで
「やはり私は舞台が好きで舞台が面白い。舞台の裏で頑張っている人たちにリスペクトを感じています。あまり脚光を浴びない舞台裏の物語を世間の方にも伝えたいという思いが根っこにあります」と、“バックステージもの”である本作に込めた思いを語る三谷。「さまざまな歌舞伎があるなかで、私がやるべきことはやはり笑いに特化した歌舞伎。エンタテインメントとしての歌舞伎の、一つの到達点みたいなものになれば。型破りの歌舞伎かもしれませんが、そういうものがあって伝統文化は先へ進んでいく。そうした意味で楽しみにしていただけたらと思います」と、真摯な表情を見せます。

続いて出演者たちも、「歌舞伎はまだまだ進化しているぞと、歌舞伎座に驚きに来ていただきたいと思います」(幸四郎)、「繰り返し再演して、時が経てば古典と言われるぐらいの名作になれば」(愛之助)、「歌舞伎を最初に観る作品としてぴったりの楽しい作品。多くの方に観ていただけたらうれしいです」(獅童)、「見えている以外のところまで、想像しながら観て楽しめるお芝居です」(彌十郎)、「稽古でも進化しますが、きっと初日が開いてからも日々変わっていくだろうと楽しみなお芝居です」(鴈治郎)と、口々に呼びかけました。

舞台への熱い情熱をもつ人間が集う稽古場で、誰かが発言するたびに皆が明るい反応を見せ、真剣ななかにも舞台の面白さ、稽古の楽しさがにじみ出るような、笑いの絶えない会見となりました。ますます期待がふくらむ「吉例顔見世大歌舞伎」の初日まで、あと少しです。
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歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」は11月2日(日)から26日(水)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。