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壱太郎、尾上右近、米吉、橋之助、南座で厄払いの流し雛

壱太郎、尾上右近、米吉、橋之助、南座で厄払いの流し雛

 

 3月3日(水)、南座「三月花形歌舞伎」出演の中村壱太郎、尾上右近、中村米吉、中村橋之助が、南座で流し雛を行いました。

 6日(土)に初日を迎える南座の舞台には、『吉野山』の道具が置かれ、一面に桜の風景がひろがります。3月3日の桃の節句にあたるこの日、身の穢れを人形に移して川に流したという古来の儀礼にちなんで、舞台上を流れる川に雛人形を流した四人。公演の成功と無病息災を祈りながら、人形が川面をゆるやかに流れていくのを見届けました。

 

若さあふれる顔ぶれで挑む

 「公演の成功と、無事に千穐楽まで進むことを一心に思いながら流し雛をいたしました」と切り出した壱太郎は、「僕ら四人を筆頭に、福之助くん、歌之助くんと、全員が30歳以下の花形歌舞伎。精魂込めて演じます」と、意気込みを見せます。右近も、「今、このメンバーでなければできない『義経千本桜』をお楽しみいただいて、非日常を皆様に感じていただけるような舞台を懸命に勤めたいです」と、熱意を込めました。

 

 米吉は、平成27(2015)年に出演した南座「三月花形歌舞伎」を振り返り、「それから少しでも成長したなと思っていただけるような舞台を勤めたいですね」と抱負を述べ、流し雛により「悪いものは今流れましたのでご安心して」と、来場を呼びかけました。橋之助は、「父(芝翫)も若い頃に出演していた南座の花形歌舞伎で、兄弟三人、父に負けないよう、先輩方の胸を借りて、南座に汗を染み込ませられるくらい燃えて勤めたいです」と気合十分です。

 

壱太郎、尾上右近、米吉、橋之助、南座で厄払いの流し雛

 背景の吉野山は一面の桜。「劇場全体が、桜満開、春爛漫で皆様をお迎えいたします」と壱太郎

個性の違いを楽しんでほしい

 Aプロ・Bプロ、偶数日・奇数日ごとに配役を変えて勤める今回の公演。なかでも各回一人ずつ、四人が交互に勤める『歌舞伎の魅力』について、「『義経千本桜』の世界へ皆様を誘う場」(壱太郎)、「自分たちが感じる歌舞伎の魅力や、歌舞伎に対しての情熱をお客様と共有する時間」(右近)、「四人それぞれのニュアンスや風情の違い、キャラクターを感じていただきたい」(米吉)、「真面目なお話もしつつ楽しんでいただけるよう、毎日工夫していきたい」(橋之助)と、四人とも目を輝かせながら口々に語りました。

 

 『吉野山』について、壱太郎は、「Aプロ・Bプロで、振りはもちろん舞台装置も変えて上演します。演出の違いもありますので、両方観ないと後悔します!」とアピールします。右近は、「上方風のこってりとした味わいで、かつ若くエネルギッシュに」演じたいと力強く語り、期待を誘いました。

 

 『吉野山』と『川連法眼館』の静御前を初役で勤める米吉は、「初めて勤めさせていただく第一歩をご覧いただきたい。橋之助くんと息を合わせて、邪魔にならず引っ込みすぎない静御前で、華やかな舞台をお届けしたいです」。続けて橋之助も、「古風で大きな、ゆっくりとした時間が流れるように。若手しか出せない匂いやフレッシュさを武器に、米吉さんと一緒に大事につくっていけたら」と語り、自分たちならではの舞台をつくろうという気概を感じさせました。

 『歌舞伎の魅力』では、お客様からの質問に出演者が答えます。質問は現在、南座公式ツイッター公式インスタグラムで募集中ですので、ふるってご応募ください。

 

 南座「三月花形歌舞伎」は3月6日(土)から21日(日)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

 

壱太郎、尾上右近、米吉、橋之助、南座で厄払いの流し雛

 雅楽の調べにのせて、藁細工に和紙製の雛人形を載せた「桟俵」が、ゆっくりと舞台上の川を流れていきました

2021/03/05