ニュース
愛之助、壱太郎が語る「第十五回 永楽館歌舞伎」

2025年9月30日(火)から始まる、兵庫県 出石永楽館「第十五回 永楽館歌舞伎」に出演の片岡愛之助と中村壱太郎が、公演への思いを語りました。
▼
第十五回目の節目に
平成20(2008)年の永楽館柿落大歌舞伎から始まった永楽館歌舞伎は、いよいよ今年で第十五回を迎えます。愛之助は、「第十五回の節目にふさわしい、おめでたい演目の『寿曽我対面』で、工藤左衛門祐経を初役で勤めさせていただく。身の引き締まる思いです。十三代目(十三世片岡仁左衛門)の舞台を、そばでたくさん拝見させていただきました。十三代目のやり方でもある、最後に肥前節が流れたときに後ろの襖が開いて富士山が見えるというかたちで上演したいと思います」と、構想を語ります。
また、今回、「父(二世片岡秀太郎)がまさに『対面』を教えていた」という松竹上方歌舞伎塾出身の俳優も大役に挑戦することに触れ、「一人でも多くの役者を育て、スターが出てほしい。なかなか難しいことですが、関係者の皆さんが快諾してくださった。父も喜んでいると思います」と、言葉に思いがこもります。その言葉にうなずく壱太郎は、小林妹舞鶴を初役で勤めます。「皆で、先人から習ってきたことをここで発揮する、そんな舞台になると思っております」と、気合を込めました。

▲ 永楽館で大向うを担当する「鸛の会」の皆さんと。会場でも賑やかな大向うが飛び交いました
舞い戻った『神の鳥』
今回は、第七回永楽館歌舞伎で初演された『神の鳥』も上演されます。「これもまた第十五回の記念にふさわしく、永楽館で生まれ、歌舞伎座でも上演された『神の鳥』が、コウノトリのように舞い戻ってまいりました」と笑顔を見せる愛之助。「(作・演出の)水口一夫先生と何度も話し合い、歌舞伎の楽しい要素を入れてつくった作品です。いろいろとブラッシュアップして上演したい。歌舞伎座上演時に新調した、山中鹿之介の大きな衣裳を使ってみたいと思っています」。
初演時から『神の鳥』で愛之助と共演している壱太郎は、「歌舞伎には、歌舞伎独特の踊り方である、“はばたき”という鳥の演技表現があります。『神の鳥』ではそれを雄と雌で演じ分けるということで、ほかになかなかない踊りになっていると思います。また、狂言師に化けて子どもを救出するという分かりやすい物語や、歌舞伎らしい華やかな部分も組み込まれ、誰にでも楽しめる舞台です」と、作品の魅力を説明。「やりがいがあります」と、目を輝かせました。
いつも笑い声が絶えない『口上』も、永楽館ならではです。「初登場の(坂東)彦三郎さんと(中村)福之助さんは驚かれると思います。出演者が楽しんで、そしてなによりお客様が楽しんでいただけたら」という愛之助の言葉に、壱太郎も「あんなにお客様とやりとりができる口上はほかにないですよね。毎年、永楽館に戻ってきたんだなという気持ちになります」と、楽しそうに続けました。

▲ 左より、榮木健二永楽館歌舞伎実行委員会会長、中村壱太郎、片岡愛之助、門間雄司豊岡市長
永楽館への思い
愛之助は「第一回目は、父と壱太郎さんと三人で寄せていただきました」とこれまでの永楽館歌舞伎を振り返り、「豊岡の皆様に支えられて第十五回を迎えられたことを本当にうれしく思っています。これからも回を重ねて、上方そして豊岡市が盛り上がっていくように、私も壱太郎さんも全力で進んでいきたいです」と、力強く語ります。また、映画「国宝」の劇中に永楽館が登場することに触れ、「非常にうれしかった。映画を観られた方が永楽館や歌舞伎に興味を持っていただけたらとてもありがたいと思います」と述べました。
高校生の頃から永楽館に出演してきた壱太郎は、「懐かしいですね。愛之助お兄さんはここではいつも初役をと考えてくださいますし、『神の鳥』や『鯉つかみ』のように、永楽館で始めた作品が大きな劇場にかかるようになり、ここは発信の地だという思いがあります。私たちもかけがえのない舞台体験ができて、お客様も永楽館ならではの芝居体験をしていただける。この公演が第十五回まで続いたのは地元の皆さんのおかげとありがたく思っています。映画のことも含め、ぜひこの機会に永楽館がより一人でも多くの方に知られて、盛り上がっていくことを願っております」と、熱い思いを伝えました。
▼
出石永楽館「第十五回 永楽館歌舞伎」は、9月30日(火)から10月5日(日)までの公演。チケットは8月3日(日)から永楽館窓口、チケットWeb松竹、チケットホン松竹ほかで発売予定です。