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海老蔵が語る、明治座、南座「海老蔵歌舞伎」

海老蔵が語る、明治座、南座「海老蔵歌舞伎」

 

 5月29日(土)、30日(日)は明治座で、6月4日(金)から13日(日)まで南座で行われる「海老蔵歌舞伎」に出演する市川海老蔵が、公演に向けての思いを語りました。

親子共演への思い

 今年1月の新橋演舞場に続き、「海老蔵歌舞伎」と題した本公演では、時代物の名作『実盛物語』 と、新作歌舞伎舞踊 『KABUKU』 が上演されます。『実盛物語』では海老蔵が斎藤実盛を、堀越勸玄が太郎吉を勤め、海老蔵と十二世團十郎が昭和62(1987)年に歌舞伎座で共演して以来、34年ぶりに成田屋親子の共演が実現する話題のひと幕です。

 

 武将斎藤実盛の魅力について海老蔵は、「平家の勝利が目前であるなかで、源氏方でありながら、平家を装いその場を救おうとしている。綱渡りよりも難しいような人生のゲームを、実盛は乗り切る。その知的なセンスや、捌き役のかっこよさにつながっていくところが、ドラマチックであり、実盛の良さだと思う」と語ります。「義賢と実盛と瀬尾、この三人がいなかったら、この物語上は、源氏は成立していない。そういうところにも魅力を感じます」と役への思いを口にしました。

 

 太郎吉を勤める勸玄については、「順調に背も伸びて、8歳ですから年齢的にも太郎吉(を演じるのに)ぎりぎりです」としながら、「私も父と一緒に演っていて、非常に思い出深い役。子どもにとっては、大役であると同時に心に残る作品だと思うので、彼と体現できることは非常にうれしい」と、親子共演へ期待をふくらませました。

 

海老蔵が語る、明治座、南座「海老蔵歌舞伎」

 

創作プロセス公開の面白さ

 SNS「Clubhouse」のやりとりから生まれた新作歌舞伎舞踊『KABUKU』については、制作真っ最中としながらも、「“ええじゃないか”をテーマのひとつとして、お伊勢参りの御札を手にした瓦版売が登場する物語となる予定」と説明。「現代の渋谷のスクランブル交差点で、歌舞伎をやってほしい」という意見を受けての、時空を超えた構想も明らかになりました。

 

 初の試みとなる、「Clubhouse」での制作のきっかけを「制作過程自体をビジネスにする、プロセスエコノミー的な創作が可能なのではと思いました。初日までの様子を、リアルタイムでお客様に聞いていただけるというのは、今の時代でないとできない特別なこと。音声でやりとりをする会話形式のコミュニティーだからこそ、物事の即決にもつながったと思う」と振り返り、「日本の方々もさることながら、日本の文化を世界の方に楽しんでいただけるような企画にするのが、ひとつのゴールです」とプロジェクトへの抱負を述べました。

 

東京から京都へ

 海老蔵、勸玄が歌舞伎の本公演で明治座の舞台に立つのは今回が初めて。また勸玄は、南座へも初出演となります。「鴨川には歌舞伎を始めたとされる出雲の阿国の銅像があり、その前には南座がありますので、倅とはそういった話がしたい」と、歌舞伎発祥の地での、歴史の継承にも思いを寄せます。

 

 さらに父・十二世團十郎との南座での思い出を尋ねられると、「若い頃、顔見世興行を見に行ったときに、市川家の家の芸、歌舞伎十八番の『助六由縁江戸桜』が上演されていました。父が舞台に登場したとき、感動して涙が出ました。私のなかでは非常に大きな出来事として印象に残っています」と、振り返ります。

 

 最後に、コロナの影響で、多くの方がいろいろな思いを抱えて暮らしていることを気にかけながら、「楽しいことを提供することが我々、演じる者たちのひとつの勤めであると思います」と、力強く語りました。

 明治座「海老蔵歌舞伎」は5月29日(土)~30日(日)まで、南座「海老蔵歌舞伎」は、6月4日(金)~13日(日)までの公演。チケットの詳細は、それぞれの公演情報をご確認ください。

2021/04/27