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歌舞伎座「七月大歌舞伎」初日開幕

歌舞伎座「七月大歌舞伎」初日開幕  

 2022年7月4日(月)、歌舞伎座「七月大歌舞伎」の初日が幕を開けました。

 今月も、歌舞伎座は三部制(各部総入れ替え、幕間あり)での公演。客席は間隔を空けた2席並びを原則とする配置で販売し、引き続き換気、消毒など、感染予防対策を徹底してお客様をお迎えします。

 

 第一部は、「三代猿之助四十八撰」屈指の人気作、『當世流小栗判官(とうりゅうおぐりはんがん)』です。幕が開くと、小栗判官の命を狙う、猿弥勤める横山大膳の館。物語序盤、猿之助が勤める小栗が暴れ馬の鬼鹿毛(おにかげ)に騎乗したまま小さな碁盤の上に曲乗りする「碁盤乗り」では、小栗の颯爽とした勇ましさが舞台いっぱいに広がり、観客の心を一気に惹き込みます。猿之助2役目の浪七は、漁師たちとの立廻りの末、小栗への忠義を貫く壮絶な最期を迫力満載に見せていきます。

 

 物語が進み、道化役の矢橋の橋蔵の巳之助が登場すると、喜劇味あふれるやり取りで場内を盛り上げます。尾上右近勤めるお駒は、小栗、笑也勤める照手姫との三角関係を繰り広げます。さらに、歌六勤める遊行上人が寺嶋眞秀勤める弟子の一眞を引き連れ、花道から登場。一眞は大勢の僧たちとともに祈りの舞いを踊ると、本作最大のみどころとなる、小栗と照手姫による天馬に乗っての宙乗りでは、笑也が初日に、女方としては最多の宙乗り1000回目を迎えました。大量に降りしきる吹雪が華やかに彩り、場内の盛り上がりも最高潮に。大きな拍手に包まれるなか幕を閉じました。

 第二部、『夏祭浪花鑑』では、海老蔵が8年ぶりに団七九郎兵衛を勤めます。罪人となっていた団七の出獄の日。団七の女房、お梶(児太郎)と、伜の市松(堀越勸玄)らは釣舟三婦(左團次)と住吉社へやって来ます。髪や髭が伸び放題の団七が、身なりを整えて浴衣姿で現れると、その爽やかな佇まいが場内を魅了します。団七は、大恩人の兵太夫の息子、玉島磯之丞(廣松)とその恋人琴浦(莟玉)の危難を救うため、一寸徳兵衛(右團次)とその女房お辰(雀右衛門)らと奔走しますが、舅の義平次(市蔵)が琴浦を悪人の手に渡そうとし…。団七による殺しの場は、数ある歌舞伎の殺しの場のなかでも代表的な場面の一つ。祭囃子が様式美を一段と際立たせ、圧倒的な存在感で舞台を包み込みました。

 

 続いての、新歌舞伎十八番の『雪月花三景 仲国』は、海老蔵、長女の市川ぼたん、堀越勸玄の親子三名が歌舞伎座の本興行で初めて共演を果たすことでも話題の舞台。忠臣・源仲国を海老蔵、八条女院を福助が勤め、ぼたん勤める女蝶の精、堀越勸玄勤める男蝶の精らが可憐な踊りを披露します。天災を収め、病魔退散の儀式を催す役目を命ぜられた仲国は、村人たちと共に天下泰平と五穀豊穣、病魔退散を祈念して、華やかに舞い踊ります。幻想的で鮮やかな舞いと可愛らしい胡蝶の精の姿に、客席からは拍手が鳴り止みませんでした。

 第三部は、『風の谷のナウシカ』。令和元(2019)年に新橋演舞場にて初演され、原作の壮大な世界観を再現しながら古典歌舞伎の要素を盛り込み、大きな話題になった作品です。今月はその前半部分をもとに、さまざまな苦悩や葛藤のなかで、凛として美しく生きる皇女クシャナの姿をより深く描く、「上の巻 ―白き魔女の戦記―」として歌舞伎座に初登場します。初演でナウシカを演じた菊之助が、今回はクシャナを演じ、演出もつとめます。幕が開くと、「風の谷のナウシカ」のタイトル文字が幻想的に映し出され、米吉演じるナウシカが花道すっぽんから登場。客席は一気に作品の世界に引き込まれます。やがて、彌十郎演じるユパが花道から現れ、ナウシカとの再会を懐かしみます。

 

 凛として毅然とした態度のクシャナがトルメキア軍を引き連れて花道から登場すると、緊迫した空気に包まれます。ナウシカは古くからの盟約に従い、戦にむかうことになりますが...。ナウシカのもつ純真さ、クシャナが放つ気高さが混じり合い、初演からさらにブラッシュアップされた『風の谷のナウシカ』。幼き王蟲の精を菊之助の長男丑之助が演じ、幼きナウシカを長女寺嶋知世が演じることも話題となっています。クライマックス、米吉にとって初めてとなる、ナウシカの「メーヴェ」に乗っての宙乗りでは、場内は割れんばかりの拍手に包まれました。

歌舞伎座「七月大歌舞伎」初日開幕

 歌舞伎座地下2階の木挽町広場では、7月31日(日)まで歌舞伎巡業公演地「北陸地方物産展」を開催し、北陸地方のご当地大人気商品を販売しています。ご観劇の際は、ぜひお立ち寄りください。

 

 歌舞伎座「七月大歌舞伎」は29日(金)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2022/07/08