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「超歌舞伎2022 Powered by NTT」本公演が新橋演舞場で開幕
2022年8月21日(日)、新橋演舞場で、「超歌舞伎2022 Powered by NTT」の本公演が初日の幕を開けました。
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今年、初の国内4都市での上演を行っている「超歌舞伎」。これまでに開催された博多座、御園座での公演でも、連日熱い舞台を繰り広げました。このたび新橋演舞場公演の初日に先立ち、前日に行われた会見へ、中村獅童、小川陽喜、澤村國矢が出席し、公演への意気込みを語りました。
初めての新橋演舞場での公演を迎え、「本当に胸がいっぱい」と、話す獅童。先の2都市で、「超歌舞伎」を初めてご覧になるお客様もペンライトを振って応援してくださったと振り返り、手応えを感じた様子です。國矢は、「緊張していますが、博多座・御園座の盛り上がりを受け自信をもって、獅童さんの素晴らしいパワーに食らいついて頑張ります」と、気合を込めました。陽喜は、「立廻りをしているところが特に楽しいです」と、笑顔を見せながら、自ら改善点もあげるなど、その真剣さが伝わります。
普段から歌舞伎を上演する劇場で公演するにあたって、獅童は、古典の歌舞伎が好きな方にも納得いただけるようメッセージ性も出すなどの工夫をしていると明かします。また、お客様同士の交流にも触れ、「すべての年代のお客様と我々の気持ちが一緒になっている気がします。もっと面白いものをつくっていきたいという気持ちになりますね。お客様も含めて超歌舞伎ファミリーです」と、熱い思いを伝えました。
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『超歌舞伎のみかた』では、蝶紫と國矢が息の合った掛け合いをしながら、ツケに合わせた動きの実演や下座音楽などの歌舞伎の基本、さらにペンライトを使った「超歌舞伎」ならではのお約束などを紹介し、観客を楽しませます。そこへ、NTTが研究開発を進める最新技術「Another Me®」によってデジタル空間上に再現された獅童、その名も「獅童ツイン」が現れ、本物さながらの身振り、手振り、表情豊かな声色や話し方で勢いよくご挨拶。さらに発展し続ける技術、そして無限に広がる歌舞伎とデジタル技術の融合の可能性を感じさせました。
『萬代春歌舞伎踊(つきせぬはるかぶきおどり)』では、ミク演じる出雲のお国が、桜や紅葉が舞うなか、扇を使った優美な舞を見せ、視線をひきつけます。ほかの女歌舞伎たちや蝶紫演じる女奴お蝶、國矢演じる奴國平らも次々に華やかな踊りを披露したところへ、三番叟の装いに身を包んだ、獅童演じる真柴結城少将秀康が現れ、鈴の音に祈りを込めた舞を見せます。最後には「いざや歌舞かん」と、音楽に合わせて皆で賑やかに踊り、客席もペンライトを振って盛り上がりました。
三幕目の『永遠花誉功(とわのはなほまれのいさおし)』の冒頭の口上で、新橋演舞場での上演について十八世中村勘三郎との思い出を交えて感慨深げに話した獅童。続けて「こうして全国公演が実現したのも、超歌舞伎ファン、初音ミクさんファンの皆さんのおかげ」と、力強く語る姿に、客席から大きな拍手が送られます。ミクも「精一杯勤める所存です」と述べ、二人が声をそろえて挨拶をすると、場内はこれから始まる舞台へ向けて熱気が高まっていきました。
本作は、蘇我入鹿討伐の政変を題材とする作品群と、初音ミクの代表曲「初音ミクの消失」をイメージしてつくられた新作歌舞伎です。獅童勤める金輪五郎今国と、蝶紫勤める定高の娘、ミク勤める苧環姫の切なくも美しい物語に、悪逆な敵役、國矢勤める蘇我入鹿の討伐が絡み合う展開が観客を魅了。また、小川陽喜勤める金輪小五郎陽国の活躍が劇場をさらに沸かせます。登場人物に合わせ、客席のペンライトの色が変わり、ペンライトから出る大向うの音が飛び交う様が、楽しさをいっそう増幅させます。
今年から導入されたLEDパネルにより、ますますしなやかな動きを見せるミクが舞う場面では、客席から思わずため息がこぼれます。また、NTT超高臨場感通信技術「Kirari!」により分身して戦う陽国の場面をはじめとし、プロジェクションマッピングを用いた今国と入鹿の相撲勝負、苧環姫が入鹿に立ち向かう場面のボリュメトリック技術を駆使した迫力ある映像など、最新技術を駆使したみどころの数々に、客席もすっかり引き込まれます。
力尽きた苧環姫の消失に悲しみをこらえ、今国が叫んだ「緑色の灯火を」という呼びかけに応え、緑のライトに包まれた客席。その力を得て見事に入鹿を討ち果たすと、劇場は盛大な拍手に包まれました。 カーテンコールで獅童が舞台を駆け回り、陽喜が見得をすると、観客も立ち上がってペンライトを振り、興奮は最高潮へ。色とりどりのペンライトで埋め尽くされた空間で、輝く桜吹雪のもとに出演者が集まり、熱狂の渦のなかの幕切れとなりました。
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新橋演舞場「超歌舞伎2022 Powered by NTT」は、9月3日(土)までの公演。その後、9月8日(木)~25日(日)の南座公演へ続きます。チケットはチケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。