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大阪松竹座「坂東玉三郎×鼓童 初春特別公演」で始まる開場100周年

 2023年1月5日(木)、大阪松竹座「坂東玉三郎×鼓童 初春特別公演」『幽玄』が初日の幕を開けました。

 今年開場100周年を迎える大阪松竹座では、玉三郎と太鼓芸能集団 鼓童による『幽玄』で、節目の年の初春を寿ぎます。

 

 能の「羽衣」「石橋」「道成寺」をもとに生み出された『幽玄』。その始まりの「羽衣」は、玉三郎の天女と、その羽衣を拾った花柳壽輔らが演じる漁師伯竜の物語が描かれます。厳かに響く締太鼓の合奏が、劇場を幽玄の世界に染めていきます。能と異なり、複数の伯竜役が登場し、それぞれに行動や感情を分担して表現する点もみどころ。天に戻らんとする天女と伯竜たちが織りなす躍動的な群舞が、観る者を圧倒しました。

 

 続く「石橋」では、鋲打ち太鼓や締太鼓など、数種類の太鼓や楽器が豪快な音楽を奏でます。清涼山に現れたのは、花柳流舞踊家による三頭の獅子。場内の空気を心地よく震わせる太鼓の響きのなかで、獅子の長く白い毛が力強く振られる光景に、客席の熱気もいよいよ高まります。

 

 締めくくりは、『京鹿子娘道成寺』と原典の能を巧みに融合させた「道成寺」です。道成寺の鐘供養へ、玉三郎の白拍子花子が登場する場では、夜の闇に蝋燭の光が灯され、幻想的な雰囲気が漂います。

 

 太鼓の打音と演者の足づかいがあいまって緊張を高めていく「乱拍子」から「鞨鼓の踊り」へ、いよいよ高まりゆく白拍子の執念が見事に描かれていきます。最後は蛇体と化した玉三郎と大勢の四天が壮大な光景を見せ、揺るがすような拍手のなか幕となりました。

 

 大阪松竹座「坂東玉三郎×鼓童 初春特別公演」は、28日(土)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2023/01/07