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「南座 歌舞伎鑑賞教室」に向けて
2023年5月12日(金)から始まる「南座 歌舞伎鑑賞教室」に出演の、片岡千次郎、片岡りき彌、上村吉太朗、講談師の旭堂南龍が、公演に向けての意気込みを語りました。
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平成5(1993)年から平成27(2015)年まで毎年上演され、昨年7年ぶりの復活を遂げた「南座 歌舞伎鑑賞教室」。今年は、南龍による『歌舞伎の講釈』に続き、『妹背山婦女庭訓』より常磐津の舞踊「願絲縁苧環」を、千次郎の烏帽子折求女実は藤原淡海、りき彌の入鹿妹橘姫、吉太朗の杉酒屋娘お三輪という清新な顔合わせでお届けします。
責任と緊張感をもって勤める
千次郎とりき彌は、「南座 歌舞伎鑑賞教室」の復活後、これが初めての出演となります。二人とも、客席から見ていた去年の公演に触れながら、「千壽さん、吉太朗さんたちの熱演を、頼もしく誇らしく思っていました。今年は、責任を感じつつ、皆でチームワークよく、楽しく、緊張感をもちながら、勤めさせていただきたいと思います」(千次郎)、「お客様にも楽しんでいただけるいい公演だなと感じていました。精一杯頑張ります」(りき彌)と、それぞれに気合を込めて挨拶しました。
2年連続の出演を喜ぶ吉太朗は、「前回は学生のお客様も多く来てくださり、間近で反応を見ることができました。自分と歳も近く、親近感をもって観ていただけたのではないかなと思います」と、昨年を振り返ります。かつての「鑑賞教室」を見ていたという南龍は、「当時は九雀師匠(桂九雀)が楽しそうに解説していらっしゃいました。お声がけいただき光栄です。南座は入った瞬間に、観客もお芝居に関わっていくような気分になれる。非日常のときめきを皆様と共有したいです」と、目を輝かせました。
わかりやすい演目を楽しんで
『妹背山婦女庭訓』で、二人の娘に好かれる求女を勤める千次郎は、「三角関係が一つのテーマ。求女は受け身な役ですので、熱演というよりは削ぎ落としたなかに、色気や藤原淡海の品格が巧まずしてにじみ出るようにしたい」と、目指す人物像を説明します。りき彌は、「私の橘姫と吉太朗さんのお三輪。役柄が異なる女方の動きの違いを見ていただきたい。旦那(二世片岡秀太郎)は役の心を大事にという教えでした。それをどう表現するか研究しながら勤めたいです」と、真摯な表情を見せました。
「初めて観ていただく方にも、わかりやすい演目」と太鼓判を押す吉太朗は、「総踊りなど華やかな部分もあります。今回は常磐津で上演しますので、その魅力も楽しんでいただけるのでは」と、みどころをアピール。南龍は、「京都は海外からのお客様も多いので時折英語を交え、そして盛り上げて次につなげるという講談らしい醍醐味も入れながら、難しい部分を面白おかしくわかりやすく伝えたい。補助役に徹しながら、誰よりも楽しんで勤めさせていただきます」と、構想を明かしました。
長く続けていきたい公演
改めて、この公演について、「(上村)吉弥さんが23年間続けてきた歌舞伎鑑賞教室です。この新しい体制で定着していってほしいですし、僕も昔この教室を拝見していた身として、これまで舞台で演じるなかで、感じてきた歌舞伎の楽しさを伝えたい。とにかく一所懸命勤めたいと思っております」と、千次郎は思いをかみしめるように語ります。りき彌は、「年々、舞台に出る責任を強く感じ、内心不安もありますが、とてもありがたいチャンス。とにかく全力で取り組んでいい舞台にしたい」と、素直な思いを口にしました。
吉太朗は、「お弟子さんもこうやって活躍できる場を大切にしていかないといけないと思います。自分自身も大きな責任をもって、師匠(吉弥)のように、皆さんと一緒にずっと続けていきたいです」と、これからを見据えます。未来へ続いていく一歩として、今年も上演される「南座 歌舞伎鑑賞教室」に、いっそう期待がふくらみます。
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南座「南座 歌舞伎鑑賞教室」は、5月12日(金)から21日(日)までの公演。チケットは4月9日(日)から、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売予定です。