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鴈治郎が語る「松竹大歌舞伎」西コース
2023年8月31日(木)から全国17会場で行われる、「松竹大歌舞伎」西コースに出演する中村鴈治郎が、公演について語りました。
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津々浦々を巡る
令和元(2019)年の「松竹大歌舞伎」西コース以来、およそ4年ぶりに開催される(公社)全国公立文化施設協会主催による巡業公演。今回は『土屋主税』と『汐汲』を、上方ゆかりの俳優たちで上演します。鴈治郎は、「久しぶりに復活する公文協の巡業にさっそく出させていただき、そこでまた成駒家の芸である『土屋主税』を久しぶりに上演させていただくこと、大変にうれしく、楽しみにしております。本公演でもまたかけたいと思えるような公演にしていけたら」と、意気込みます。
これまで巡業公演を通してさまざまな地域を訪れ、「公文協公演のおかげで、全国47都道府県すべて回らせていただきました」と、各地の思い出を述べた鴈治郎。沖縄県での公演は、父・四世坂田藤十郎と十世坂東三津五郎とともに、昭和57(1982)年の沖縄復帰10周年で歌舞伎を披露して以来、約41年ぶりになるとのこと。「全国津々浦々に待っていただいている方がいらっしゃるという思いで、この巡業公演で皆さんに会えることを楽しみにしております」と、笑顔を見せます。
大切な家の芸
上方歌舞伎を代表する名跡である、中村鴈治郎家のお家芸「玩辞楼十二曲」のうちの一つ、『土屋主税』。「曽祖父の初代中村鴈治郎にあてて書いたであろうと言われている作品ですので、完全に初代鴈治郎を目立たせて、浮き出させるために書いた、出来た芝居」と、その印象を話します。特に大高源吾はとても好きな役の一つで、「亡くなられた(二世中村)吉右衛門の兄さんの大高源吾がとても素敵で、ずいぶん真似をした覚えがあります」と、当時を懐かしむ様子も。
一方、土屋主税を初めて演じた際には、藤十郎から「臆びれず、照れずにやれ」とアドバイスをもらったといい、「お客様は私しか観てないというくらいのつもりで、それでいて自惚れでなく、いい殿様ができれば」と続けます。また、「型だけではなく、“土屋主税”という人間自体がわかりやすく、お客様にはそのままストレートに観ていただける。ストーリー性があり、リアルを見せることが上方芝居ならではだと思います」と、大切にしてきた演目の魅力を語ります。
「今回(上村)吉太朗くんは初めての役で、これからお園をやっていく役者になるだろうと思いますし、(中村)亀鶴くんにしても大高源吾をきっちり演じる役者になってもらいたい。巡業で役に抜擢されて、研究をしていくことはすごく大事なことだと思いますし、ゆくゆくは其角役をやる役者さんが少なくなってきますので、それも含めて、しっかり勉強してもらうような、いい公演になれば」と、今回の巡業公演がもつもう一つの重要な意義にも触れました。
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「松竹大歌舞伎」西コースは8月31日(木)から9月24日(日)まで、全国17会場で開催。チケットの詳細は公演情報のお問い合わせでご確認ください。