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歌舞伎座「七月大歌舞伎」初日開幕

歌舞伎座「七月大歌舞伎」初日開幕

 

 2023年7月3日(月)、歌舞伎座「七月大歌舞伎」の初日が幕を開けました。

  昼の部は、歌舞伎の三大名作の一つ『仮名手本忠臣蔵』をもとに、スペクタクルな展開で描く『菊宴月白浪(きくのえんつきのしらなみ)』です。塩谷の浪士が高野師直を討って1年余、主君の敵討ちを果たした四十七士は義士として讃えられるなか、斧定九郎(中車)は、敵討ちに加わらず不義士の汚名を着せられた父・斧九郎兵衛(浅野和之)に代わり、せめて自分は亡君への申し訳を立てたい忠義の心をもっています。しかし御家再興のために必要な家宝が盗まれたことが判明し、家宝を奪い返すため“暁星五郎”と名を変え、仲間とともに立ち上がります。それぞれの思いが入り乱れながら、家宝はさまざまな人々の手を渡っていき…。

 

 『仮名手本忠臣蔵』の大序の場面を“兜改め”ならぬ“宝改め”として表現した冒頭の「禅覚寺」の場面をはじめ、随所に『忠臣蔵』のパロディ要素が散りばめられ、観客を楽しませます。個性豊かな登場人物たちとともに物語は展開し、舞台は注目の“両宙乗り”に。観客の熱い視線が注がれるなか、花道上を大凧が悠々と飛んで行くと、たちまち反対側から本舞台へ向かって傘で舞い降りる定九郎。劇場空間をいっぱいに使った大がかりな演出に場内が盛り上がります。さらに、大屋根での大立廻りなど一瞬たりとも目が離せない怒涛の展開が続き、客席からは割れんばかりの拍手が贈られました。

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 夜の部は、義太夫狂言の傑作『神霊矢口渡』から。かつて、褒美の金欲しさに新田義興の命を奪った強欲者の渡し守・頓兵衛(男女蔵)の家に、義興の弟義峯(九團次)と恋人の傾城うてな(廣松)が偶然にも訪れます。頓兵衛の娘のお舟(児太郎)は、気品あふれる義峯にひと目惚れ。お舟の様子が微笑ましく描かれます。後半は、義峯の命を奪おうとする頓兵衛と、義峯を守ろうとするお舟との立廻りに。純粋な娘と極悪非道な父の対照的な姿が、観客を魅了しました。

 

 続いては、『神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)』。通称「め組の喧嘩」と呼ばれる、江戸っ子の生き様を鮮やかに描く世話狂言の傑作です。め組の鳶頭・辰五郎(團十郎)は、一度は尾花屋女房おくら(魁春)の取り持ちもあり、四ツ車大八(右團次)ら力士たちとの喧嘩を収めますが、その後も喧嘩が再熱し…。男として気持ちをぐっと収めるも、収まりきらず、力士への仕返しを心に決めた辰五郎と、辰五郎を案じる兄貴分の喜三郎(又五郎)とのやり取り、女房お仲(雀右衛門)や幼い子との別れが、印象深く描かれます。辰五郎の粋でいなせな姿や、力士との豪快な大立廻りも心地よく、活気あふれるひとときとなりました。

 

 夜の部を締めくくるのは、「九世市川團十郎歿後百二十年」と銘打ち上演される、新歌舞伎十八番の『鎌倉八幡宮静の法楽舞』。鎌倉の荒れ寺に現れ、舞を舞い始める一人の老女(團十郎)。老女の姿が見えなくなると、怪しげな空気のなか、提灯(新之助)や、三ツ目(ぼたん)など次々と物の怪たちが現れ、舞を見せます。やがて老女が在りし日の静御前の姿で現れると、幻の源義経と連舞に。静御前は恐ろしい化生に姿を変え、河東節、常磐津、清元、竹本、長唄囃子が重なり合い豊かな五重奏が響き渡るなか、僧たちとの迫力あふれる立廻りとなります。そこへ花道から二宮姫(ぼたん)と竹抜五郎(新之助)が登場し、團十郎演じる化生を本舞台へと押戻すと、客席の興奮は最高潮に。團十郎が、冒頭の老女に始まり、狐の白蔵主や油坊主、船頭、静御前、源義経、化生を鮮やかに踊り分け、ぼたん、新之助もそれぞれ3役を勤める、エンタテインメント性あふれる華やかなひと幕となりました。

歌舞伎座「七月大歌舞伎」初日開幕

 2階ロビーには芝大神宮の絵馬が

 歌舞伎座場内2階ロビーには出演者による成功祈願の絵馬が飾られています。「め組の喧嘩」の舞台でもある芝大神宮の絵馬にもご注目ください。

 

 歌舞伎座地下2階の木挽町広場では、「江戸の粋と伝統」を引き続き開催しており、扇子・履物をはじめ、江戸木版画、江戸刺繍の工芸品を販売中です。ご観劇の際はぜひお立ち寄りください。

 

 

歌舞伎座「七月大歌舞伎」初日開幕

 

 歌舞伎座「七月大歌舞伎」は28日(金)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

 

2023/07/07